資料の構成とは?|作成の3ステップ・注意点・種類別の構成例を一挙に解説

資料作成は構成が肝心と理解しつつも、具体的な手順や例が思い浮かばず作成に苦労したことのある方も多いのではないでしょうか。あらゆる種類の資料に応用できる基本的な手順や注意点から、種類に応じた具体例までまとめてご紹介します。
目次
・資料作成の準備
①資料作成の目的を定義する
②構成段階ではパワーポイントを使用しない
・パワーポイント資料の構成手順3ステップ
STEP1:見出しとメッセージを書き出す
STEP2:伝える情報の構造化を行う
STEP3:メッセージごとにスライド単位に分解する
・資料別パワーポイントの構成例
事業計画書の構成例
提案書の構成例
営業資料の構成例
ピッチ資料の構成例
資料作成の準備
①資料作成の目的を定義する
パワーポイント資料を作成する基本的な目的は、資料を通じたコミュニケーションによって読み手に行動してもらうことです。以下の項目を定めていくことで、目的を具体的に定義することができます。資料を作成する目的が定義されると、後々方針がぶれることもなくなります。
読み手が誰か
読み手によって伝えるべき内容や伝え方が変わってくるため、誰に向けた資料なのかをきちんと定義することが大切です。
読み手の立場・権限・性格・前提知識・興味関心などを理解しておくことで、資料に何を盛り込むか判断しやすくなり、資料の方向性を決定しやすくなります。たとえば、相手がせっかちなタイプなら、結論を早めに提示したり、資料全体をシンプルにまとめたりする必要があります。
また、何に魅力を感じ(昇進、マネジメント労力の軽減など)、何で意欲を失うか(従来のやり方からの大きな変更や失敗のリスクなど)を想定しておきましょう。読み手が行動したくなるような要素を盛り込むことで、期待する行動をとってもらえる可能性が高まります。
読み手にどうなっていてほしいのか
目的によって資料の作成方針は変化します。資料を通じて最終的に読み手にどのような状態になっていてほしいのか・どんな行動をとってほしいのかを改めて定義しておく必要があります。
相手に期待する行動は、すぐアクションに移せるレベルまで具体的にしておくことが重要です。具体化することで、行動に移してもらえるまでの時間を短縮できる上に、読み手が意図しない行動をとってしまうリスクも減らせます。
②構成段階ではパワーポイントを使用しない
構成は手書き、もしくはワードなどで行うのがおすすめです。スライド作成に入る前に構成を作ることで、論理の破綻や情報の抜け漏れダブりを防いで、後で無駄な修正の時間をかけずに済みます。
まずは全体の論理展開に集中するためにも、手書きやワードで構成を検討していきましょう。また、手書きで行うと脳が活性化され、より良い構成を作れる効果が期待できるというメリットもあります。
パワーポイント資料の構成手順3ステップ
パワーポイント資料の目的・方針が定まったら全体の構成を検討していきます。
STEP1:見出しとメッセージを書き出す
定義した目的を基に、まずは目次レベルで見出しとメインメッセージを書き出していきます。ざっくりとテーマに沿った見出し構成を考えてから、読み手や目的を意識して、相手に伝わりやすく、行動を起こしてもらえる流れになるよう、再度見直します。
メッセージに納得しうる理由づけを行う
読み手の疑問を解消できる理由づけをしましょう。メッセージ(主張)だけ聞かされても、なかなか読み手は納得してくれません。
「メッセージに対して対応する理由はセットで用意されているか」、「用意されている理由は客観的に妥当なものであるか」など相手の疑問に耐えうる理由づけができているかをチェックしておきましょう。
PREP法を意識することで、理由づけのしっかりした構成を作成できます。PREP法とはPoint(主張)→Reason(理由づけ)→Example(例示)→Point(主張)の流れで意見を主張する方法です。この流れを常に意識することで、納得感のある資料となります。
STEP2:伝える情報の構造化を行う
目次レベルで伝える内容が決まったら、各見出し内で伝える内容を構造化していきます。ピラミッドのような形で、情報を階層化していきましょう。
- 同じ階層の情報同士は、粒度が揃っているか
- 上位階層の情報は、下層グループを抽象化したメッセージになっているか
- 各階層ごとの情報量は均等か
上記を意識して、情報構造を整理しましょう。情報の構造を整理することで、論理構成が明確になり、頭に入りやすくなります。同じ階層同士の情報の粒度を揃えるのはもちろん、品詞レベルまでこだわって階層を整えていきます。
STEP3:メッセージごとにスライド単位に分解する
構成が固まったら、1スライド1メッセージの法則に従って、見出しごとのメッセージをスライド単位に分解していきます。パワーポイントでは、複数メッセージを1枚に詰めこんでしまうと、情報の重要度がわかりづらくなり、直感的な理解の妨げになります。
ここまで構成が固まったらセルフチェックを行った上で、上司や同僚などの第三者からフィードバックを受けましょう。自分では気づかない論理の破綻や、要素の抜け漏れを指摘してもらえますし、依頼内容に対する認識の相違などを防ぐことができます。
構成の検討後は実際にスライドを作成していきます。スライド作成時のポイントは下記記事で紹介しています。
【関連記事】
▶【見るだけで伝わる】優秀なパワーポイントデザインの極意!デザインのコツも解説
▶資料作成における構成6ステップとデザイン10原則を徹底解説!
資料別パワーポイントの構成例
資料のタイプごとにパワーポイントの構成例を紹介していきます。
事業計画書の構成例
投資や融資の判断に使用される事業計画書は、論理の整合性が厳しく問われます。そのため、事業内容・環境・戦略・実行方法・結果などの各要素を一貫する論理が必要です。
また、根拠の妥当性も厳しく見られるので、市場分析や調査内容などの情報量が多くなりがちです。データは別添の資料としてまとめるなど、ボリュームが増えても伝わりやすくなるような工夫をする必要があります。
事業計画書の目的
- 銀行からの融資や投資家からの投資を受けるため
- 今後の事業計画の解像度を上げ、社内外に共有するための資料となる
構成例
- 表紙
- 目次
- 会社の概要
- 事業のコンセプト・ビジョン
- 検討の経緯
- 事業戦略の方針およびその理由
- 事業戦略の内容
- サービス内容
- 収益モデル
- 環境分析
- 販売戦略
- 事業展開のロードマップ
- 実行体制
- スケジュール
- 財務計画
- 課題及びリスク
提案書の構成例
提案書は相手の抱えている課題に対し、解決策を提案する資料です。
そのため基本的な流れとして、「課題」→「解決策の提案」→「その根拠」の論理展開になることが多く、また根拠として解決策を採用するメリットを明確に提示することで採用の確率が高まります。
提案書の目的
- 課題を明示し、課題を解決するための施策・サービスの提案を行う
構成例
- 表紙[タイトル]
- 前書き[提案の背景]
- 目次・流れ
- 与件整理
- 課題
- 提案内容
- 提案から得られるメリット
- 提案の詳細
- 成功事例
- 体制
- 予算・費用
- スケジュール
- これまでの実績[補足情報]
営業資料の構成例
営業資料は製品やサービスの情報を顧客に効果的に伝えるためのツールです。
営業を行う場面では、こうした資料を起点として顧客ヒアリングを行うことも多いため、端的に分かりやすく自社サービスの特徴を伝えられるようにしましょう。
また、自社目線での特徴ではなく、顧客目線のメリットを一貫して伝えるのがポイントです。その理由として事例紹介は有効になります。最後には問い合わせ先を明記して、顧客の次の行動を明確にしておきましょう。
営業資料の目的
- 自社のサービスや製品の情報を伝え、相手に興味・関心を持ってもらう
- 相手の抱えている悩みや課題に対して解決策を提供する
- 相手とのコミュニケーションを創造する
構成例
- 表紙
- 商品(サービス)の概要
- 商品(サービス)の特長および価値
- 商品(サービス)の詳細
- 価格体系
- 利用方法
- 商品(サービス)の導入事例
- 会社概要
- 問い合わせ先
営業資料の構成については下記記事で詳細に紹介しています。
【関連記事】
▶効果的な営業資料の作り方!基本5項目とデザインの6ポイントを徹底解説
ピッチ資料の構成例
ピッチ資料は、スタートアップが投資家などに自社を紹介する短いプレゼンテーションの際に使用する資料のことです。
事業計画書と似ていますが、ピッチでは短い時間しか与えられないことが多いため、より相手の共感を得ることを意識した構成にする必要があります。
ピッチ資料の目的
- 資金を調達するために、投資家に向けてメイン事業について知ってもらう
- 優秀な人材を確保するために、求職者に自社の魅力を知ってもらう
構成例
- 表紙
- 顧客の課題
- 解決策
- トラクション
- 市場規模
- 競合のリストアップ
- ビジネスモデル
- チーム
- 資金調達計画と使い方
投資家へアピールするためには「なぜその課題を今解決する必要があるのか」「なぜ自分たちがやらなければならないのか」など、WHYの部分を重視した構成にすることが大切です。
また、資金調達や計画など、収益についてもしっかりと意識して設計してみてください。