パワーポイントの基本の使い方6ステップ!よくあるNG例6選・便利ショートカットも紹介
パワーポイントは基本の使い方が重要!使い慣れた人でも陥りがちなNG例や意外と知らない便利なショートカットも紹介します。ぜひ基本をマスターして資料の制作効率や品質を上げましょう。
パワーポイントの基本的な使い方6ステップ
STEP1:スライドマスターで資料のルールを決める
パワーポイントで資料作成する上で、一番最初に行うべきはテンプレートを設定することです。最初にテンプレートを設定することで、その後の編集の手間を省くとともに、統一感のあるデザインで資料を作ることができます。
テンプレートは標準搭載されているものを使用するのではなく、スライドマスター機能を活用して独自に作成することをおすすめします。スライドマスターは、全スライドに一括で変更を適用できる機能です。
スライドマスターを開く
スライドマスターは「表示」タブ→「スライドマスター」の順にクリックで設定できます。
スライドマスターは一番上の大きなスライドマスターとその下にぶら下がっているレイアウトマスターで構成されています。
スライドマスターでの変更は全スライドに、レイアウトマスターでの変更は該当のレイアウトを適用したスライドに反映されます。
テンプレートを作成する際は、スライドマスターを使用するのではなく、どのスライドでも使える本編用のテンプレートをレイアウトマスターで作成してください。スライドマスターを使用すると、表紙と本編に同じ設定がされてしまうからです。
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以下、スライドマスターで設定しておきたい機能を紹介します。
スライドサイズを決める
まずはスライドのサイズを決めましょう。後々スライドサイズを変更すると、デザインをすべて編集しなおさなければならないからです。
スライドサイズは「スライドマスター」タブの「スライドのサイズ」から選ぶことができます。
特に指定がない場合は、印刷用は「A4」、投影用は「4:3」もしくは「16:9」の最適な方を選びましょう。
フォントを設定する
フォントの読みやすさは、パワーポイント資料の読みやすさに影響します。読みやすいフォントを選択しましょう。
スライドマスターでフォントを設定しておくと、一覧の冒頭に設定したフォントが表示されるため、便利です。
フォントは「スライドマスター」タブ→「フォント」の順にクリックすると設定ができます。
プルダウンの「フォントのカスタマイズ」をクリックします。
ダイアログボックスで英数字と日本語のフォントを設定しましょう。
ここでは、英数字用のフォントにSegoe UIを、日本語文字用のフォントにメイリオを設定しました。どちらも見やすく、おすすめのフォントです。
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テーマの色を設定する
資料を通して使用する「テーマの色」も、この段階で設定します。テーマの色を設定しておくことで、都度色をRGBで指定する手間が省ける上、資料全体で統一感が出ます。
テーマの色は「スライドマスター」タブ→「配色」の順にクリックで設定ができます。
プルダウンから「色のカスタマイズ」をクリックします。
ダイアログボックスで任意の色を選択すれば完了です。
今回は下記の通りに設定しました。
・背景色:白
・文字色:黒
・メインカラー:紺
・アクセントカラー:赤紫
資料内で使う色数は、3色程度に抑えましょう。色が増えすぎると、重要度がわかりづらくなる上に、稚拙な印象を与えてしまいます。どうしても3色以上使用したい場合は、メインカラーやアクセントカラーの明度違いの色をカラーパレットから選択すると、統一感を保てます。
パワーポイント資料の色の選び方については下記の記事にて紹介しています。
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ヘッダー・フッターを設定する
ヘッダーとはページの上部、フッターとはページの下部を指します。
ヘッダーとフッターも、レイアウトマスターで設定しましょう。
ヘッダーでは、スライドタイトルへの装飾を施すことで、タイトルを見やすくします。また、会社ロゴや社外秘マークなどを統一して記載することもあります。
フッターではスライド番号やコピーライトなどを記載します。ヘッダーとフッターを適用した例です。
ヘッダーとフッターの設定方法に関しては、下記記事で詳細を解説しているので参考にしてください。
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ガイド線を設定する
ガイド線とは、自由に動かして設置できる線で、オブジェクトの整列や余白の確保のために使用します。
標準画面上に設定することもできますが、スライドマスターやレイアウトマスター上にガイド線を設定しておけば、標準画面上では編集できなくなります。誤って移動してしまったり、削除してしまったりする心配がなくなるので、重要なガイド線はスライドマスター上で設定しておきましょう。
ガイド線は「表示」タブの「ガイド」にチェックを入れれば表示されます。ドラッグすることで位置を調整することができます。
デフォルトでは縦横1本ずつですが、「Ctrl+ドラッグ」で複製できます。
STEP2:テキストの編集を行う
テキストの入力はプレースホルダーへ直接入力するか、テキストボックスを作成することで可能です。
「挿入」タブ→「テキストボックス」をクリックすると、カーソルが十字に変化します。ドラッグで領域を選択することで、テキストボックスを挿入することが可能です。
以下、テキスト入力後の編集方法について解説します。
色を塗る
色を塗りたい部分を選択して、「ホーム」タブ→「フォントの色」をクリックします。
プルダウンでカラーパレットが開くので、任意の色をクリックすれば設定完了です。ここではアクセントカラーの赤紫を選択しました。
もしくは、テキストボックス横のウィンドウからも選択できます。
太字などの装飾を行う
パワーポイントでは、テキストの装飾も可能です。よく使われるのは太字です。その他、斜体、下線、取り消し線もあります。
装飾したいテキストを選択した状態で、「ホーム」タブのフォントグループにある「太字」・「斜体」・「下線」・「取り消し線」のそれぞれをクリックすることで設定できます。
太字・斜体・下線は、テキストボックス横のウィンドウからも設定可能です。
一般的には、文字を強調したい時や重要なポイントがある場合に、太字や斜体、下線が用いられます。文字を残しつつ、取り消しをしたい時に取り消し線が用いられます。
ただし、強調のために複数種類の装飾を使うことはおすすめしません。情報の重要度がわかりづらくなるためです。基本的に強調は太字で行い、他の装飾は使わないほうが伝わりやすい資料になります。
フォントサイズを変更する
フォントサイズは「ホーム」タブの「フォントサイズ」から変更ができます。
ボックス横のプルダウンか、ボックスに直接数値を入力することで、変更可能です。
フォントサイズも、テキストボックス横のウィンドウからも設定可能です。
資料の性質、投影環境などによって、適切なフォントサイズは変わります。
あくまで目安ですが、配布資料は12pt〜16pt、投影用資料は18pt以上で作成しましょう。
なお、フォントサイズは下記ショートカットでも変更が可能です。
・フォントの拡大: Ctrl+Shift+>(Ctrl+Shift+])
・フォントの縮小: Ctrl+Shift+<(Ctrl+Shift+[)
左右の配置を変更する
左右の配置は「ホーム」タブの「左揃え・中央揃え・右揃え」で変更できます。
基本的には左揃えを使うことが多いですが、図形の中にテキストを配置したい場合などに中央揃えを使います。右揃えは、表の中で数値を入力する場合などに使用することがあります。
左右の配置も、テキストボックス横のウィンドウから設定可能です。
上下の配置を変更する
上下の配置は「ホーム」タブの「上揃え・上下中央揃え・下揃え」で変更できます。
表や図形にテキストを入力する際には、特に意識する必要があります。
文字の間隔・行間を変更する
字間は「ホーム」タブの「フォント」グループの「文字の間隔」のプルダウンから変更できます。「その他の間隔」をクリックすることで、任意の字間を設定することも可能です。
行間は「ホーム」タブの「行間」より設定できます。
文字の間隔も行間も狭くすると多くの情報を入れることができますが、窮屈な印象を与え読みづらくなるので避けましょう。
STEP3:図表やグラフを挿入する
パワーポイント資料では、図表やグラフを用いて情報を視覚的に伝えることも重要です。
画像・図形・表・グラフなどは「挿入」タブの各項目をクリックすることで挿入ができます。
画像の挿入方法
「挿入」タブ→「画像」→「このデバイス」の順にクリックします。参照元を開くためのウィンドウが開くので、任意のファイルを選択すれば、挿入完了です。エクスプローラーから画像を直接ドラッグ&ドロップすることでも、挿入可能です。
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図形の挿入方法
図形を挿入するには、「挿入」タブ→「図形」の順にクリックし、プルダウンメニューより任意の図形をクリックします。
ここでは四角形を挿入してみます。
カーソルが十字になったので、図形を置きたい場所をクリックするか、作成したい四角形をドラッグして描きます。
四角形の挿入が完了しました。選択した状態で、白い点をドラッグすることで大きさを変更することができます。
表の挿入方法
「挿入」タブ→「表」をクリックすると、マス目が表示されるので、作成したい表の行数と列数にあわせてドラッグすると表が挿入されます。
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グラフの挿入方法
「挿入」タブ→「グラフ」をクリックすると、グラフの種類を選択するダイアログボックスが表示されます。ここでは集合縦棒を選択します。
エクセルのようなワークシートが表示されるので、数値を編集します。
ワークシートを閉じれば、グラフが挿入されます。他の種類のグラフでも同様です。
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STEP4:全体のチェックを行う
テキストや図表など、通常のオブジェクトの編集が完了したら、この時点で資料全体のチェックを行います。誤字脱字はないか、デザインの観点で見づらくなっていないかなど細かい部分まで確認してください。
デザインのチェック時には、下記を確認しましょう。
- 十分な余白は確保されているか
- 各オブジェクトの位置は厳密に揃っているか
- 関連性のあるものは近くに配置されているか
- 情報の優劣に応じて強弱が付いているか
- 資料全体でデザインのルールが統一されているか
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STEP5:アニメーション・音楽を設定する
アニメーションや音楽を設定する場合は、全体のチェックが完了した後に行います。設定後にデザイン面での修正が必要になると、アニメーションや音楽も挿入し直さなければならない場合があるからです。音楽も、アニメーションと組み合わせる場合が多いので、このタイミングで挿入してください。
アニメーションはオブジェクトを選択し、「アニメーション」タブ→「効果」で設定ができます。
効果の右下の矢印をクリックすることで、上のような一覧からも選択可能です。アニメーション効果は、派手すぎるものは避けて聞き手の集中を阻害しない程度に抑えてください。
おすすめなのは「フェード」と「ワイプ」です。
「アニメーション」タブ→「プレビュー」でアニメーションのプレビューが再生できます。
音楽は「挿入」タブ→「オーディオ」→「このコンピューター上のオーディオ」より挿入できます。
音声ファイルは下記形式が挿入可能です。
- .wma
- .wav
- .mp3
- .m4a/mp4
- .mid/midi
- .au
- .aiff
STEP6:スライドショーで最終チェックする
アニメーションや音楽の設定も完了したら、スライドショーで資料全体の最終チェックを行います。
スライドショーは「スライドショー」タブの「最初から」、もしくは「現在のスライドから」をクリックすることで可能です。それぞれ、F5、Shift+F5のショートカットキーでも開始できます。
アニメーションの設定はおかしくないか、スライドの切り替わりが意図した設定になっているかなど、細かくチェックしてください。
よくあるNG例6選
続いて初心者がやりがちなNGなパワーポイント資料の作り方を紹介します。パワーポイントに慣れていない人は、ぜひ参考にしてみてください。
①1スライドに複数のメッセージを盛り込んでしまう
限られたスライドのスペース内に複数メッセージがあると、重要な情報がどれかがわかりづらくなります。
左側の複数のトピックが記載されているスライドよりも、右側の「理想」だけに絞ったスライドの方が理解しやすいかと思います。
1スライドには1メッセージのみのスライド作成の原則を守り、わかりやすいパワーポイント資料を作りましょう。
②テキスト量が多い
テキストの量が多すぎると見づらいスライドになります。文字が多いと読んで理解することに時間がかかり、読むことが面倒になってしまいます。
物事を伝える際の考え方として、KISSの法則というものがあります。「Keep it short and simple(短く、単純に)」という意味で、簡潔に伝えることが大切ということです。
文章を簡潔にしたり、図表を用いたりして、シンプルにまとめましょう。
③フォントを統一していない
見やすいフォントを選べば視認性は大きく向上します。また、原則日本語と英数字で使用するフォントは1種類ずつ(あるいは日本語、英数字まとめて1種類)とすることで、資料の統一感が出ます。
フォントが統一されていないと、手抜きの印象を与える上、読み手にストレスを与えてしまいます。
おすすめのフォントはメイリオと游ゴシックです。メイリオは視認性を意識して作成されたフォントなので、とても読みやすいです。その上、太字に対応しているため強調しやすく、多くのデバイスに搭載されているのでデザインが崩れることも少ないです。
游ゴシックも美しいフォントで太字にも対応している使い勝手のよいフォントですが、Windows8以降のみに標準搭載であることを頭に入れておきましょう。
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④色数が多い
色数が多いと強調したい部分がわからなくなります。背景は白、文字は黒もしくは濃いグレーとし、資料全体のテーマカラーと強調用のアクセントカラーを選びましょう。
ルールを決めて運用することで、強調したい部分が明確になります。左のスライドと比べて、右のスライドは赤紫色の部分が重要だとひと目でわかります。
色は多用せず、本当に強調したい部分だけに使うと、資料の見やすさが向上するでしょう。
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⑤オブジェクトの位置が揃っていない
オブジェクトの位置が揃っていないと、雑然とした印象を与え、読みづらい資料になります。
そのため、厳密に縦横のラインを揃えることが大切です。「配置」機能の整列を使用して揃えましょう。
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⑥スライドの端までオブジェクトを敷き詰めてしまう
余白のない資料は、窮屈な印象を与え、読みづらくなります。初心者の方は、可能な限りスライドに情報を詰め込もうと考えがちですが、見づらくなってしまうだけです。
スライドの周囲には十分な余白を設定しましょう。また、文字だけでなく図表にテキストを入力する際も余白を意識すると、分かりやすい資料になります。既に解説したテキストの編集方法で上下の配置を変更するのも、十分な余白を取るために必要な作業です。
パワーポイントの便利なショートカット
ショートカットを覚えて使うことで、パワーポイントの資料作りを効率化できます。
ここではよく使うショートカットキーをいくつか紹介します。
- 新規スライドの追加→Ctrl+M
- コピー→Ctrl+C
- 貼り付け→Ctrl+V
- 切り取り→Ctrl+X
- 直前の操作を元に戻す→Ctrl+Z
- 直前の操作を繰り返す→Ctrl+Y
- 選択したオブジェクトのグループ化→Ctrl+G
- 上書き保存→Ctrl+S
- スライドの最初からスライドショーの開始→F5