わかりやすい中期経営計画とは?厳選12事例をポイント解説!

中期経営計画は印象に加え、「わかりやすさ」が重要!100社近くの資料から、特にわかりやすい12事例をピックアップ。構成やデザインの特徴から、参考にしたいポイントを解説。
中期経営計画とは
中期経営計画は、3~5年間の経営計画をまとめた資料です。企業の中期的な経営目標やビジョン(将来なりたい姿やあるべき姿)と現状との差を認識し、そのギャップを埋めるためのロードマップを示すものです。
目標は、売上や利益などの定量的な値に加え、顧客満足の向上など定性的な事項を示す場合もあります。現状と将来の差を埋める手立ては、5W1Hで表現されることが多いです。また、「いくらで:How Much」「どのくらい:How Many」の要素を加え、資金や資産の動きをより明確にした5W3Hで表現されることもあります。
類似の資料に、5年~10年後の目指す姿を示す長期経営計画と、毎年の計画を示す短期経営計画があります。長期経営計画では10年程度のスパンで市場の動向を見据えたビジョンの策定が必要です。短期経営計画では中期経営計画の目標を細分化し、単年度で取り組む内容を具体的に示します。そのため、短期経営計画は月ごとの予算や実績を振り返る材料になります。
中期経営計画の中に長期経営計画・ビジョンを載せる場合もあります。その場合、冒頭で長期的なビジョンを示し、これらを見据えて直近3~5年間で取り組むべき事項(中期経営計画)を後段で説明するという流れが多いです。

任意開示であり、企業が自社の事業や業績、財務状況を説明するIR資料は他にも「アニュアルレポート」や「決算説明資料」などがあります。決算説明資料の作成のポイントや優良事例についてはこちらの記事で解説しています。
中期経営計画を作成する目的
中期経営計画は以下の、経営者等が経営計画を検討する目的以外でたとえば下記の場合などに作成されます。
- 銀行や企業などから投融資を受ける場合
- 公的機関からの補助金や助成金を受ける場合
- 株主や投資家へ経営計画を説明をする場合
- 経営者が社員に経営計画を説明する場合
経営計画を作成することで社内外のステークホルダーから協力を得やすくなる他、先述のとおり経営の状況を把握しやすくなります。

中期経営計画はどのように作成する?デザインは必要?
中期経営計画はWordやExcelを用いて文章や表・グラフのみで作成されることもありますが、より端的にわかりやすく伝えるためには、パワーポイント(スライド)を使うことをお勧めします。ただし、最初からパワーポイントで情報を整理しながら作成するのは難しいため、まずは金融機関や公的機関が提供しているフォーマットに沿って情報を埋めるかたちでテキストベースの中期経営計画を作成し、その後、情報を読みやすく要約してスライド化する流れでもよいでしょう。
PC(Windows)の他、スマートフォン・タブレット(Android、iPad)で作成できるツールもあります。経営計画を作成する上で必要な基礎知識をクイズ形式で学習することもできるため、初めて作成する方は一度利用してみてはいかがでしょうか。
【参考】▶独立行政法人中小企業基盤整備機構「経営計画つくるくん」
融資・補助金を受ける目的や、社内外の協力を得る目的を果たすためには、読み手の目線に立った読みやすい資料にする必要があります。どのような内容を盛り込むかといった構成はもちろん、読み手の理解を促すデザインもとても重要です。
またストリームラインでは、構成からデザインまで丸ごと任せられるIR資料作成支援サービスを提供しております。パワーポイントで納品の為、その後は社内で自由に更新していただけます。資料作成でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
参考になるIR資料がスライド単位で見つかる検索サービス「LEAD SEARCH」
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わかりやすい中期経営計画の特徴
読み手の理解を促すわかりやすい中期経営計画を作成する上で、抑えておくべきポイントとは何でしょうか。様々な記事で中期経営計画の作成手順について書かれているため、手順についてはここでは触れずに、直近1年間に開示された中期経営計画の優良事例から見えてきたポイントを挙げます。ポイントの詳細は、次の章で事例の具体例と共に解説します。
中期経営計画のデザインの特徴
- 配色や強調のルールがシンプル
- ブランドイメージに合わせたトーン・マナーが設計されており、資料全体で統一されている
- 余白を十分にとり、情報のまとまりを明確にしている
- 読み手の理解を妨げる余計な装飾を施していない
- 会社や事業のイメージが伝わる素材を取り入れている
中期経営計画の構成の特徴
- 要素量を絞り込み、各スライドにリード文を設けるなど端的にメッセージを伝えている
- 目次や中扉、インデックスを設けて読み手が現在位置を見失わないようにしている
- 前提知識のない読み手に配慮し、ビジネスモデルや事業概要を丁寧に説明している
- 想定する読み手に合わせた構成順序としている(Appendixを活用している)
- 理念や経営方針などの定性情報にとどまらず、成長性の根拠となる定量情報を示している
わかりやすい中期経営計画の優良事例【厳選12事例】
今回は、読みやすい中期経営計画の事例を12点紹介します。2021年11月~2022年12月に公開された中期経営計画の中から、特に読みやすい・わかりやすい資料を独自にピックアップしました。デザインに加えて構成面で参考になる部分も適宜解説します。
(ドキュメントスタジオ内の他の記事で紹介している企業様の事例は、今回の記事での解説は対象外としました。)
No | 会社名(株式会社省略) | 特徴・ポイント |
---|---|---|
1 | いつも | 抜群に洗練されたデザインと、投資家への説得力のある構成 |
2 | インテリックス | オリジナリティあふれる構成・デザイン |
3 | オークネット | サステナブルな経営戦略を指標とイメージで伝える中期経営計画 |
4 | 荏原実業 | 事業セグメント別の解説がわかりやすい中期経営計画 |
5 | グローバル・リンク・マネジメント | ビジュアルで瞬時に理解できるKPIツリー |
6 | スマレジ | 長期ビジョンを具体的な施策に落とし、地に足の着いた中期経営計画 |
7 | 地主 | 社名・ロゴと共に刷新された洗練感のある中期経営計画書 |
8 | コクヨグループ | シンプルでメッセージが伝わりやすい構成・デザイン |
9 | 日本国土開発 | 社会課題の解決・ESGを重視した経営方針が読み取れる中期経営計画 |
10 | SBテクノロジー | 厳選された情報量とメリハリのあるデザイン |
11 | ライト工業 | ビジネスライク・インパクトのあるプレゼン資料型中期経営計画 |
12 | 大建工業 | 数値情報が豊富なデータで見る中期経営計画 |
1. いつも ”抜群に洗練されたデザインと、投資家への説得力のある構成”

いつもの中期経営計画のデザインは、ブランドイメージに沿ったシンプルな設計です。表紙はシンプルにロゴ、テキスト、本編と共通する枠のあしらいで構成されています。
資料全体の配色も赤とグレーで統一されており、16:9のスライドサイズを生かして余白を十分に設けているため、シンプルでありながらも非常に洗練された資料に仕上がっています。
また、シンプルでありながらも細部まで配慮した丁寧な印象を受けます。たとえば、グラフは先端が角ばっておらず丸みを帯びた図形が使用されています。パワーポイントのグラフにはこのように先端を丸める機能が無いため、図形で起こすかイラストレーターなどを使用する必要があります。
図解においても丸みを帯びた図形が使用されており、全体的に柔らかさがあるものの、落ち着いた配色のためビジネスライクな堅さとのバランスが取れたテイストです。


サブカラーに紺色や水色が使用されていますが、使用する面積を極力抑え、広い面積に使用する場合は明度違いの薄い色を用いているため、色数が少なくすっきりとした印象を与えます。
アイコンもシンプルな線のタイプに統一され、配色は赤か紺で一部アクセントとして黄色が用いられています。資料の始まりから終わりまでトーン・マナー、ルールにブレがなく、一貫しています。


グラフは一部データラベルが細かな箇所がありますが、重要な数字は大きく示されているため、強調箇所は明確です。
特に、市場のTAMを示すP57以降では、数式のみを要素とし、目立たせるべき数字を大きく表示しているためメリハリとインパクトがあります。


いつもの中期経営計画の構成
・中期経営計画に向けて
・中期経営計画
・投資について
・配当について
・新役員体制
・appendix
構成は、「中期経営計画に向けて」と題し、外部環境(市場環境)と内部環境(事業環境)を解説した後、本題の中期経営計画の説明にうつります。2023年3月期を中長期の持続的な成長に向けた投資初年度と位置づけているため、3章・4章で投資と配当の計画を示しています。当面は投資のため内部留保を優先するものの、10億円以上の連結経常利益を安定的に確保できる事業体制となった場合、計画としては2026年頃から20%の配当性向を目指すとしています。今後のリターンを明確に示すことで、投資の拡大を図る狙いがありそうです。
2. インテリックス ”オリジナリティあふれる構成・デザイン”

出典:株式会社インテリックス 中期経営計画(2023/5-2025/5)
インテリックスの中期経営計画は、シンボルマークを資料の構成の柱としているところが特徴的です。インテリックスのロゴにはー+=×の数学記号が含まれており、これらはリノベーションの考え方そのものを表しているそうです。その「循環型リノベーションモデル」の考え方に沿って資料が構成されています。ー+=×を目次・インデックスとして機能させており、37ページにわたるボリュームでも、読み手は現在位置を見失うことがありません。
また、構成では財務目標に加えてプライム市場計画値への成長イメージを示しており、2027年までにプライム市場基準をクリアすることを目標に掲げています。具体的な数値が示されていることで、投資家への期待や安心感につながるでしょう。Appendixでは理念体系やグループの事業概要、各事業分野の重点方針、サステナブル経営(ESGへの対応)を丁寧に説明しています。
インテリックスの中期経営計画の構成
・インテリックスのシンボルマーク
・私たちの軌跡
・循環型リノベーションモデル
・プライム市場計画値への成長イメージ
・財務目標
・リノベーションでCO2を削減します
・リノベーションでQOLを高めます
・透明性を確保したリノベーションプラットフォームを実現します
・パートナーとの共創で新たな価値をつくります
・Appendix


表紙は非常にシンプルです。上記のインテリックスのロゴマークに込められた考え方を知らない読み手は、初見では何を表しているのかとクイズのように考えてしまうかもしれません。シンプルだが興味をそそるデザインと言えそうです。
本編でも、数学記号をインデックスとして用いています。1ページあたりの情報量も比較的多いですが、各ページにリード文を設けているため伝えたいメッセージは端的に伝わります。
一方、伝えたいメッセージが多い印象を受けるページもあります。たとえば、P9は左右で共通する要素(231.9万戸など)の色や図形の形状を揃えるなどすると、より理解がしやすくなるでしょう。グラフは不要な目盛り線(白の横線)を消すとよりすっきりと見えます。


表の中で強調したい値のあるセルに、枠線と透明度を高く設定した色を用いている点は、読み手の理解を促すポイントです。ただし、アクセントカラーは青と緑の2種類が用いられているため、どちらかに統一するとよいでしょう。
3. オークネット ”サステナブルな経営戦略を指標とイメージで伝える中期経営計画”

出典:株式会社オークネット 中期経営計画 Blue Print 2025
オークネットの中期経営計画は、画像と16:9のスライドサイズを効果的に用い、インパクトと読みやすさを兼ね備えた資料と言えます。
画像の使用はイメージを伝えるのに効果的ですが、使用するポイントをおさえなければ読み手に圧迫感を与えたり、メリハリがなくかえって強調箇所がわかりにくくなります。オークネットはポイントをおさえて効果的に画像を使用しているため、ぜひ参考にしてください。
表紙では画像を全面的に使用しています。日本語のタイトルより英語のタイトルを大きくしているため、タイトルの「Blue Print」のイメージがグッと伝わります。
オークネットの中期経営計画の構成
・沿革
・目標
・既存戦略
・新規戦略
・M&A事例
・財務戦略
・ESG
前提知識のない読み手も理解がしやすいよう、会社の沿革から丁寧に説明されています。また、資料の冒頭と末尾でSDGsについて語り、創業時から将来にわたりSDGsに取り組むサステナブルな企業であることをアピールしています。さらに、新たな指標として「Gross Circulation Value/総循環型流通価値」を持ち出しており、経済と環境との両立を目指していることが伺えます。サーキュラ―エコノミーの用語が使われるようになって久しいですが、オークネットはサーキュラ―エンジン(循環型流通;Circular Engine)の構築を掲げて持続的成長を加速する方針です。


新規戦略については、図解を用いて新たな概念を分かりやすく伝えています。また、既存戦略、新規戦略、M&A事例のページでは、16:9のスライドを生かして左右にテキストと図解を配置し、フォーマットを統一している点も読みやすさのポイントです。


グラフも配色が統一されており見やすいですが、ややデータラベルのフォントサイズが小さな箇所があるため、棒グラフの外側に出すなどしてフォントサイズを上げるとより可読性が上がるでしょう。


4. 荏原実業 ”事業セグメント別の解説がわかりやすい中期経営計画”

出典:荏原実業株式会社 中期経営計画「EJ2024」説明資料
荏原実業の中期経営計画は、39ページにわたる比較的ボリュームのある資料ですが、章立てがあるため全体の流れを冒頭で掴むことができます。
表紙では、各事業セグメントのアイコンがあしらわれており、本編でもこれらのアイコンや各事業の色が使用されているため、トーン・マナーがきちんと設計された読みやすい資料となっています。


荏原実業の中期経営計画の構成
・事業概要
・中期経営計画「EJ2023」の振り返り
・長期ビジョン
・中期経営計画「EJ2024」
荏原実業を詳しく知らない読み手(新規の投資家など)を想定しているためか、冒頭13ページにわたり事業概要などを丁寧に説明しています。また、はじめに長期ビジョンを示し、その後前回の中期経営計画の振り返りと新たな中期経営計画の説明をする流れを取ることが多いですが、荏原実業の中期経営計画では、まず振り返りをした後に長期ビジョンを説明する流れとなっています。
P18の表にあるとおり、経営指標の達成状況が良好なため、アピールポイントを先に示して読み手の注意を引く狙いがあるかもしれません。


各ページの情報量も比較的多いですが、余白が十分に設けられており、重要な数字はフォントサイズを上げるなどジャンプ率が高くされているため、とても読みやすい資料です。
一部グラフのデータラベルに白い枠線が付いていますが、やや可読性が低いため、枠線をやめて白いテキストにしたり、データラベルをグラフに重ねずに配置するとよいでしょう。
5. グローバル・リンク・マネジメント ”ビジュアルで瞬時に理解できるKPIツリー”

出典:株式会社グローバル・リンク・マネジメント 2022年中期経営計画(2022年12月期~2024年12月期)
グローバル・リンク・マネジメントの中期経営計画は、2020年12月期を初年度として策定されました。しかし、最終年まで1年を残して会社を取り巻く事業環境が大きく変化したことを踏まえ、2022年12月期を初年度とする新たな中期経営計画(2022 年12 月期~2024 年12 月期)が策定・発表されました。加えて、中長期的な成長を続けるために長期構想「GLM VISION 2030」が策定され、今回の中期経営計画の末尾に載せられています。
グローバル・リンク・マネジメントの中期経営計画の構成
・会社概要
・2020年中期経営計画 見直しの背景と目的
・2022年中期経営計画 成長戦略、財務指標
・GLM VISION 2030
デザインは、提供する不動産ソリューション事業やプロパティマネジメント事業のイメージが伝わるよう、イメージ画像が多く用いられています。被写体が外国人のため、初見の方は外資系の印象を持たれるかもしれません。
経営指標などの数値情報示すページでは画像を背面に置き数字を大きく示し、インパクトのあるデザインに仕上げています。


成長戦略のページでは、明朝体を用いてメッセージ性を強めています。次のページでハイライトを示し、後のページをスムーズに読み進められるように工夫されています。


図解のイラスト素材はアイソメトリック(斜め上から見下ろした構図)を用いて、スタイリッシュにまとめています。


KPIツリーは、数式に加えてこれまでの推移・計画をグラフで示しており、販売効率化と付加価値向上の目標をビジュアルで瞬時に理解することができます。グラフは、不要な目盛り線などが省かれ見やすくされていますが、軸ラベルが小さい箇所があるため、2行にしてフォントサイズを上げたり、載せる要素の数を絞ったりすることでより可読性を上げられるでしょう。
6. スマレジ ”長期ビジョンを具体的な施策に落とし、地に足の着いた中期経営計画”

出典:株式会社スマレジ 長期ビジョン・中期経営計画 説明資料(2022/6/13更新)
スマレジの中期経営計画は、本編13ページに簡潔にまとめられています。また、タイトルにも記載のとおり長期ビジョンも合わせて説明しています。スマレジが誕生した2011年から20年にあたる2031年には、POS市場で国内トップを目指すことが長期ビジョンです。この長期ビジョンに向け、2021年4月期から2024年4月期までの3年間でARRを倍増させることを目標に掲げています。1ページに「ARR倍増計画」というテキストを大きく示す姿勢から、目標への強い意気込みを感じます。


スマレジの中期経営計画の構成
・長期ビジョン VISION2031
・中期経営計画 ARR倍増計画
・中期経営計画 4つの具体的施策
4つの具体的施策を紹介するページでは、図形の影を用いて枠線を使用せずにすっきりとしたデザインにしています。以降の具体的な施策を1ページずつ解説するページでは、背面に画像素材を大きく用いています。またフォントのジャンプ率を高くしているためインパクトがあり、ページ間でのメリハリも保たれています。


7. 地主 ”社名・ロゴと共に刷新された洗練感のある中期経営計画”

地主は、日本商業開発株式会社という社名から2022年1月10日に変更した会社です。2000年の創業以来、事業用定期借地権を活用し、土地のみに投資するビジネスを行っています。配色は、ロゴマークの赤を基調として、サブカラーはグレーでシンプルにまとめられています。赤がメインカラーとアクセントカラーを兼ねる場合、情報の強弱や階層構造を分かりやすくするためには使用する面積を抑える必要があります。余白のバランスの取り方が難しい場合も多いですが、地主の中期経営計画では余白を広くとり、有彩色(赤)の使用面積を抑えているため、情報の強弱や階層構造が明確で読みやすいです。
構成は、経営理念と中期経営計画を示した後、計画の根拠となる市場拡大と業績推移を予想を含めて載せています。また、Appendixとしてビジネスモデルや強みを紹介し、前提知識のない読み手にも配慮しています。
地主の中期経営計画の構成
・経営理念
・中期経営計画
・底地マーケットの拡大
・当社の業績推移
・地主リートの資産規模推移
・APPENDIX
ドーナツグラフの配色には赤の濃淡(グラデーション)が使われています。濃淡で配色されているため、色数が抑えられシンプルです。加えて、配色の順番を右上から時計回りに濃い→薄いの順にするとより見やすくなるでしょう。


ビジネスモデルなど要素量が多いページもありますが、重要な文字を大きく詳細の説明を小さくされているため(ジャンプ率が高められているため)読みやすいです。グラフのデータラベルなど、ややフォントサイズが小さすぎる箇所も見受けられるため、なるべく大きく表示するとよいでしょう。グラフのサイズや配置は資料全体で統一されており、読み手の負担が少ないレイアウトです。
8. コクヨグループ ”シンプルでメッセージが伝わりやすい構成・デザイン”

出典:コクヨ株式会社 第3次コクヨグループ中期経営計画 -Field Expansion 2024-
表紙は無装飾で、ロゴマークと文字だけで構成されています。次の目次のページから画像が大きく使用されており、加えてテンプレートはシンプルであることで、洗練感が強く感じられます。また、無装飾のページがあることにより、資料全体でのメリハリもあります。
資料の構成はシンプルで、2030年の長期ビジョンを示したのち、前回の中期経営計画を振り返り、新たな中期経営計画を説明する流れとしています。
コクヨグループの中期経営計画の構成
・長期ビジョン CCC2030
・第2次中期経営計画の振り返り
・第3次中期経営計画 – Field Expansion 2024 –


コクヨグループの中期経営計画の中で特に目を引くページは、「森林経営モデル」です。グループ共通資産、成長戦略、コクヨの強み、企業理念などが、土や森林、空気などの階層構造で表現され、各事業領域は1本1本の木に例えられています。
配色は緑がメインカラーとされていますが、一部緑が使用されていないページもあります。
9. 日本国土開発 ”社会課題の解決・ESGを重視した経営方針が読み取れる中期経営計画”

出典:日本国土開発株式会社株式会社 「中期経営計画2024」の策定に関するお知らせ
日本国土開発の中期経営計画は本編14ページにまとめられていますが、そのうち2ページをESG経営に割いており、社会課題解決を重視した経営方針であることが伺えます。後半の補足資料でも「我々が立ち向かう社会課題」として気候変動問題と2030年問題(人口減少、都市と地方の格差、インフラの老朽化)が掲げられ、それらのリスク・機会・対応が具体的に示されています。


日本国土開発の中期経営計画の構成
・前中期経営計画の振り返り/中期経営計画2024
・長期ビジョン
・我々が目指す姿
・「中期経営計画2024」のミッション
・建設事業の取り組み
・関連事業・新規事業・R&D領域の取り組み
・ESG経営の推進
・資本戦略
・【補足資料】我々が立ち向かう社会課題
・【補足資料】社会課題に対するリスク・機会・対応
・【補足資料】新たな事業モデルへの挑戦
・【補足資料】地域の課題解決パートナーを目指す


配色は、ロゴマークと相性の良い落ち着いたブルーグレーをメインに、背景色・サブカラーにベージュが用いられています。1ページあたりの情報量が比較的多い資料ですが、各情報がグループ化して配置されているため、全体的に見やすくまとまっています。ただし、グラフや図形に用いられているサブカラーの種類が多いため、やや情報の優先度が伝わりにくい箇所もあります。メインカラーの濃淡違いの色(グラデーション)を用いるなどして色数を減らすと、瞬時に理解できる資料になるでしょう。

10. SBテクノロジー ”厳選された情報量とメリハリのあるデザイン”

出典:SBテクノロジー株式会社 2023年3月期 第4次中期経営計画
SBテクノロジーの中期経営計画の特徴は、情報が端的にまとめられている点です。本編14ページの構成で、各ページ内の情報量も絞り込まれ、全体的に図解やグラフで整理されています。一度に読み切れる情報量ではありますが、情報の階層構造に沿って冒頭に目次を設けたりインデックスを付けたりすると、一層読みやすくなるでしょう。
SBテクノロジーの中期経営計画の構成
・第3次中期経営計画における変化
・SBテクノロジーの存在意義
・組織体制の変更
・第4次中期経営計画の経営指標/重点テーマ
・SBテクノロジーのDX推進
・セキュアで顧客の生産性を向上させるサービスの提供
・セキュリティ監視センターのリニューアル
・顧客の変革を実現するデータを活用した共創型DXの推進
・持続的な成長に向けた業務提携
・第4次中期経営計画の推移
・第4次中期経営計画/ FY24 経営指標
・SBテクノロジーのサステナビリティ
・カーボンニュートラル宣言
表紙はシンプルにビジネス街の風景画像とコーポレートカラーの帯でデザインされています。
本編の背景にもビジネス街の画像が用いられています。P5のように下部に青い図形があるページは、図形が背景画像に溶け込んでいますが、文字が大きいため問題なく読めるでしょう。グラフの配色でやや視認性が低い箇所があるため、コントラストを意識するとよいでしょう。


端的にまとめられた図解はとても参考になります。使用されているイラスト素材のテイストも揃っているため、資料全体の統一感があります。


「第4次中期経営計画/ FY24 経営指標」や、「カーボンニュートラル宣言」など、特に強調するページでは、テンプレートのデザインを他のページと変え、文字を大きくしてインパクトのあるデザインにしています。


11. ライト工業 ”ビジネスライク・インパクトのあるプレゼン資料型中期経営計画”

ライト工業の中期経営計画も画像を全面的に用い、インパクトのあるデザインです。情報量を絞り込み、複雑な図解などは使用せず、簡潔に図表とテキストでまとめています。構成は、前回の中期経営計画の振り返りから今回の説明に入る前に環境認識を挟んでいます。外部環境が今後どのように変化し、それに伴いどのような対応が求められるかが示されています。
ライト工業の中期経営計画の構成
・前中期経営計画期間の振り返り
・環境認識
・中期経営計画基本方針
・経営数値目標
・三大重点戦略
・株主還元方針


全体的に画像によってインパクトのある資料ですが、P6のように画像とテキストとのコントラストが弱くやや可読性が低いページもあります。画像の色味を濃く調整する方法もありますが、あえて画像を使用しないページを設けるとページ間のメリハリが出るでしょう。
12. 大建工業 ”数値情報が豊富なデータで見る中期経営計画”

出典:大建工業株式会社 中期経営計画「GP25 3rd Stage」
定性情報を中期経営計画の主たる構成要素とする企業も多いですが、大建工業の中期経営計画は決算説明資料のように数値情報が豊富です。
冒頭で市場環境を含めた売上目標の計画値がグラフで示されており、「国内新設住宅着工戸数が減少する中でも、成長し続ける企業」になることが宣言されています。具体的な方策はP15「戦略のサマリー」以降で詳しく説明されています。グラフや表のみのページも多いため、各ページにリード文を設けることでよりメッセージが伝わりやすくなり、具体的な方策の説得力も増すでしょう。
大建工業の中期経営計画の構成
・大建工業グループの目指す姿
・中期経営計画「GP25 3rd Stage」(2022~2025年度)


経営目標のページでは、経営基盤の強化として財務情報と非財務情報の両方を示し、ESGの観点からも盤石な基盤の構築が目指されていることが読み取れます。ESG目標はP30でより詳細に説明されています。
戦略のサマリーはマトリクス図で示され、事業セグメントごとに色を分けされているため、情報量が多くても読み取りやすく工夫されています。
また、表の強調箇所は枠線と透明度を高めた色を用いて見やすくデザインされています。グラフもメインカラーの青の濃淡で配色されており、色数が抑えられているためスムーズに情報を読み取ることができます。円グラフのデータラベルの一部に白い枠線が付けられていますが、枠線をなくして白文字か黒文字にすることでより見やすくなるでしょう。

