成功する研究発表資料の作り方|図解・キーメッセージ【作成編②】
専門性の高い研究内容を他者にわかりやすく伝えるためには、資料の準備が欠かせません。今回はキーメッセージと図解について解説します。すぐに取り入れられる情報ばかりなので、ぜひ今日から資料作成にお役立てください。
今回は、成功する研究発表資料の作り方【作成編②】のご紹介です。
成功する研究発表資料の作り方シリーズでは、聴衆者に対し、研究の価値を伝えられる研究発表資料とはどのようなものか?を考察し、実際に作るにあたって押さえておくべきポイントを解説します。
このシリーズ記事を読んでほしい方は下記のような皆様です。
・学会発表を申し込んだけど、まだ資料を作っていない・・・
・学会発表で興味を持ってもらえず質問ももらえないことが多い・・・
・研究者や企業の人に自分の研究の価値が伝わりにくい・・・
・そもそもプレゼンテーションが苦手・・・
・研究内容についてプレゼンする機会があるが、聴衆は分野外の人や非研究者が多い・・・
・学会発表資料を学生向けの講義資料に活用しているが、理解度が低い・・・
1つでも当てはまった方は、ぜひ最後までお読みいただければと思います。
前回の成功する研究発表資料の作り方|ページネーション【作成編①】では、研究発表資料のストーリーを作成し、実際のパワーポイント上でのページネーションに落とし込むということについてご紹介しました。
この後の工程は、図のようなフローで進めていきます。
本記事では、図の点線部分について紹介します。
ポイント① 要素をキーメッセージとコンテンツに分解
キーメッセージ = そのスライドで一番主張したいこと
コンテンツ = キーメッセージの詳細な説明や、根拠となる情報
と呼ぶことにします。
すべてのスライドは、
主張(キーメッセージ)→詳細説明など(コンテンツ)
または
根拠となる情報(コンテンツ)→主張(キーメッセージ)
の順に配置されていることが理想です。
前者の場合、いきなりコンテンツをだらだらと説明されるよりも、キーメッセージで内容の大枠を理解してから説明を受ける方がわかりやすいためです。
また、後者の場合、根拠となる事実を積み上げることで主張に説得性を増すことができるためです。
では、実際にWordで作成した文章をキーメッセージとコンテンツに分解してみましょう。
例えば、「背景」のスライドに下記のような文章が貼り付けられているとします。
“山田、鈴木などが20XXに行った研究によると、視覚的刺激を用いた乳幼児の○○における反応を測定するとA,Bのような結果になることがわかっている。また、そのX年後にJames,Georgeなどが行った研究によると、聴覚的刺激を用いて○○反応を測定した場合はC,Dであることが明らかになっている。一方で、視覚的刺激と聴覚的刺激の相互作用による効果を検証する研究はまだ存在しない。”
これらの文章を分解すると、
キーメッセージ = 乳幼児の○○反応を測定する研究において、視覚的刺激と聴覚的刺激の相互作用による効果を検証する研究はまだ存在しない。
コンテンツ = その他の説明すべて
という風に分けられますね。
ポイント② テキストを図解やグラフに変換
分解しただけだと、スライドの状況はこんな感じになります。
実際、こういうスライドになっている人は多いのではないでしょうか?
ですが、自分が行っている研究ではない内容をテキスト情報で読み取るのは結構な負担です。
説明している人にとっては、毎日、何時間もそれに時間を費やして思考していることなので、すでに具体イメージが湧いているのは当然ですが、聴衆にとってはまったくそうではありません。
読み手が「?」となっている状態のまま次に進んでしまい、研究の意義が全く伝わらなかった・・・ということを避けるためにも、できるだけシンプルに、ぱっと見てわかる状態にしておく必要があります。
上図の内容を図に変換すると、このような感じです。
いかがでしょうか。
文字だけで説明されるより構造がすぐに入ってきますよね。
今回はたまたま2種類の条件に両方当てはまるということを伝えるためにベン図を用いましたが、他にも
・マトリクス図
・象限図
・フロー図
・階層図
など表現方法は様々です。
一度手書きでメモ用紙に図解してみるなどして、一番伝わりやすい図解の方法を検討しましょう。
続きは、成功する研究発表資料の作り方|デザインの3つのコツ【作成編③】です。すべてのページを図解やグラフにわかりやすく変換したところで、さらに理解しやすい資料にするための仕上げを行います。