【事業計画編】新規事業テーマの決め方① 経営方針から考える3つの基準

今回は、【事業計画編】と題して、事業計画の策定のコツをお伝えしていきます。

多くの場合、事業計画書はパワーポイントで作成されます。
事業の構造を図示したり、重要なポイントを強調したり、表現の幅がある程度求められる分、事業計画書にはワードやエクセルよりもパワーポイントが向いています。
完成度の高い事業計画書を作成するためには、パワーポイント資料の作成スキルが必要になります。

ただ、事業計画策定の全体のプロセスの中で、資料作成はほんの一部に過ぎません。
事業計画書の場合、内容を策定する前工程の比重が特に重く、その前工程が十分にできない限りわかりやすいパワーポイント資料を作成することができません。
事業計画の内容自体がまとまっていなければ、資料の見栄えをいくら整えたところで、完成度の低さは透けて見えてしまうのです。

事業計画の策定に携わっていた方は経験的に理解されていると思いますが、事業を企画することや企画した事業を計画にまとめることは難易度の高い仕事です。
そういった背景もあって、今回からはパワーポイント資料の作成テクニックから少し離れ、内容をいかに策定していくかという部分にフォーカスしていきたいと思います。
事業計画の策定プロセスを順に辿りながら、重要なポイントを解説していきます。

初回は、事業を新たに検討する際のテーマ設定の方法です。
本ブログでは、新規事業の検討時には大枠のテーマを設定し、その枠組みの中で検討を進めることを推奨しています。
事業の機会は無数に存在するため、ただやみくもに検討しても、議論が拡散し、徒労は増える一方です。
重要なテーマに狙いを定め、貴重な資源の分散を防ぐことが大切です。

例えば、「高齢化社会を踏まえて高齢者向けのインターネットビジネスを検討する」や「外国人の個人旅行者の増加を見据え、東北地方の体験型観光業を検討する」といった具合です。
そして、このテーマが感覚や思い付きではなく、明確な基準に沿って設定されていることが重要です。
テーマ設定の基準が明確であることが、一貫性の高い新規事業検討に繋がります。

本ブログでは、その基準として「経営方針に沿っているか」を中心に据えるべきと考えています。
「やりたいか」や「勝てるか」の前に、まずは経営方針に沿っているかという観点で新規事業の枠組みを設定します。
なぜなら、新規事業は経営課題を解決するために行うというのが本筋だからです。

以下に、経営方針から考える3つの基準をご紹介していきます。

1.事業の規模感

新たに手掛ける事業ではどれくらいの売上が必要でしょうか。
新規事業への投資額はどこまで許容可能でしょうか。
事業の種類によって、一定期間内で実現できる売上規模やかかるコストはまちまちです。
どれだけ頑張っても、売上規模は市場の規模や競争の激しさに制限されますし、投資に回せる金額が小さければやれることは限られます。

新規事業の検討において、ハイリスクハイリターンに挑むのか、ローリスクローリターンを目指すのか、事業の規模感を想定しておくことは非常に大切です。
テーマを設定する際の1つ目の基準は事業の規模感です。

中長期の経営目標が明確な場合は、既存事業の伸びしろを踏まえて逆算すれば、自ずと新規事業が目指すべき規模感が見えてきます。
これはそれぞれの企業の考え方でしかなく、正解はありません。
100億円が狙えなければ検討の土台に乗らない大企業もあれば、1億円でも十分な会社もあります。
いずれにしても、事業の規模感によって検討する内容が変わってきますので、経営方針を踏まえた前提を設定するようにしてください。

売上の規模感は、市場規模と競争状況から想定することが可能です。
現在の市場規模と成長率がわかれば、将来の市場規模をある程度予測することができます。
業界内の企業の売上規模がわかれば、現実的な売上のラインが見えてきます。
この段階では多少外していても構いません。
確かなデータを入手できなくても、仮定の数字を積み上げて必ず想定するようにしてください。

2.事業の収益構造

新規事業を検討する際には、収益性を左右する事業間の構造的な違いに配慮することも必要です。
事業の収益性は内外の様々な要因に規定されて決まりますが、それぞれの事業が普遍的に持つ構造特性に規定される部分も大きなものです。
テーマを設定する際の2つ目の基準は事業の収益構造です。

ここでは、事業間の構造的な違いの代表例を2パターン見ていきます。

<労働集約型産業と資本集約型産業>

・労働集約型産業
一人当たりの資本投下額が小さく、事業活動における労働力への依存度が高い産業
例:飲食業、農業、介護事業等

・資本集約型産業
一人当たりの資本投下額が大きく、事業活動における設備資本への依存度が高い産業
例:製造業、航空事業、金融業等

重要なポイントは、参入障壁の高さと規模の経済性です。
資本投下が必要であるため、資本集約型産業の方が参入障壁は高く、リスクも高い傾向にあります。
一方、高い参入障壁が競争を抑える働きをするため、事業が軌道に乗った際には資本集約型産業の方が高収益を実現しやすいという側面があります。
労働集約型産業は、参入が比較的容易い分、競争の煽りを受けやすいのです。

また、資本集約型産業は規模の経済の利益を享受できるという特徴を持っています。
資本集約型産業は設備資本が主体となって収益を生み出す構造であるため、販売規模が拡大すればするほど、一定期間における単位当たりコストが低下していきます。
これを規模の経済性と呼びます。
資本集約型産業は規模の拡大に伴うコスト競争力の向上により、事業の収益性を高めることができるのです。
一方、労働集約型産業は売上に占める労務費の割合が高く、売上の拡大に比例して固定費も増大していくため、規模の経済性が働きません。

将来の収益性を目指してリスクを取るのか、将来の収益性を捨てて目先の利益に走るのか、経営方針を踏まえた選択が求められます。

<フロー型ビジネスとストック型ビジネス>

・フロー型ビジネス
都度単発の取引をして収益を上げていくモデルで、収益の増減が激しい事業
例:飲食業、小売業、建設業等

・ストック型ビジネス
定期的な収益を蓄積していくモデルで、収益が比較的安定しやすい事業
例:通信業、電力事業、不動産賃貸業等

先程のパターンはコスト構造を主眼に置いた違いでしたが、こちらは収益モデルの違いになります。
フロー型ビジネスは比較的すぐに収益を上げることができますが、ストック型ビジネスは顧客の蓄積に時間を要します。
安定させるまでに時間やコストを要するものの、ストック型ビジネスは蓄積型であるため、損益分岐点を超えた後は安定した収益が見込めます。

それぞれ一長一短があり、どちらが良いというものではありません。
テーマを設定する際には、どのような収益構造の事業が必要かを考えるようにしてください。

3.事業の関連性

テーマを設定する際の3つ目の基準は事業の関連性です。
新規事業を検討する際に、既存事業との関連を無視することはできません。

新規事業の内容によっては、既存事業に対してもプラスの効果をもたらすことがあります。
それを事業シナジー(事業間の相乗効果)と呼びます。
逆に、新規事業が既存事業の収益を奪うケースもあり、それをカニバリゼーション(事業の食い合い)と呼びます。

既存事業にどのような影響を及ぼす新規事業に取り組むべきか、既存事業のどんな資産を新規事業に活用すべきなのか、テーマを設定する際には既存事業との関連性を考慮することが重要です。
新規事業のテーマを検討するということは、経営の事業ポートフォリオを構想することとイコールなのです。

以下に、既存事業の資産をベースに新規事業のテーマを検討する際のフレームワークをご紹介します。
縦軸は既存事業の製品(サービス)、横軸は既存事業の市場です。縦軸を技術としても構いません。

既存の製品を未開拓市場に展開する場合は②、既存事業の顧客層にクロスセルを展開する場合は③です。
④は市場も製品も新たな新規事業となり、②や③よりもリスクが高くなります。

自社の新規事業はどの領域を攻めるべきか。
既存事業も加味した上で検討してください。

長文となりましたが、以上が事業テーマを設定する際の3つ基準です。
このフレームワークに沿えば、経営方針から逸れるようなことはありません。

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