優秀な人材を惹きつける採用ピッチ資料とは?| 作成の手順から活用のポイントまで徹底解説
本記事では優秀な人材を惹きつける効果的な採用ピッチ資料とは何か、その作成手順から活用のポイントまでを徹底解説します。ここで紹介する採用資料作成の手順や活用するためのポイントを参考することで、求職者を惹きつけるための実践的なテクニックを身に着けていきましょう。
目次
・採用ピッチ資料とは
・採用ピッチ資料を作成するメリット
・採用ピッチ資料を作成するデメリット
・採用ピッチ資料の効果的な4つの使い方
- ①自社の採用サイトやSNSで公開する
- ②ダイレクトスカウトメール等に添付して送付する
- ③採用面談、採用面接の対象者に送付する
- ④リファラル採用で使用する
・採用ピッチ資料に盛り込むべき4つの項目
- ①会社紹介
- ②求人情報
- ③アピールポイント・今後の課題
- ④その他の情報、選考フロー・福利厚生など
・採用ピッチ資料作成に向けた5つの手順
- ①会社の魅力・求める人物像を定義して、記載する
- ②印象的かつ簡潔な内容で伝える
- ③資料全体でストーリー性を意識しながら作成する
- ④求職者が知りたい情報を記載する
- ⑤資料展開後の効果検証を行い、内容を更新する
・採用ピッチ資料を最大限活用する3つのポイント
- ①面接の数日前に事前送付する
- ②求職者や社内の意見をもとに改善を重ねる
- ③仲介者へアプローチする
・採用ピッチ資料を最大限活用して優秀な人材を惹きつけよう
採用ピッチ資料とは
採用ピッチ資料とは、会社が求職者のためにまとめた自社の紹介資料のことです。
いわゆる、会社紹介資料は、会社の良い点や魅力を重点的に紹介することが多数です。
それに対し、採用ピッチ資料は会社の課題点や一緒に働く人の実情などもありのままに伝えるという特徴があります。
採用ピッチ資料を作成するメリット
採用ピッチ資料の作成には主に3つのメリットがあります。
1つ目は、会社の事業内容、経営理念、働く環境など、求職者に伝えたいポイントを1つの資料で網羅できることです。
これにより、採用活動時に不足する情報がなく、スムーズな説明が可能になります。また求職者も企業の全体像を把握しやすくなり、適切な職場選択ができます。
2つ目は、資料のデザインによって視覚的に自社のイメージやブランドを伝えられることです。魅力的なデザインは求職者の興味を惹き、記憶に残りやすくなります。
企業の特徴や雰囲気が伝わりやすくなり、求職者は具体的にイメージすることができます。
最後は、求職者の関心度合いを確認できることです。この点が確認できると、より効果的なアプローチが可能になります。
熱心な求職者にはきめ細かいフォローを、興味の低い求職者には新たな切り口でアプローチするなどの活動が可能になります。
このように採用ピッチ資料の作成は、企業と求職者の双方にメリットがあり、スムーズな採用活動を行う上で重要な役割を果たします。
採用ピッチ資料を作成するデメリット
採用ピッチ資料の作成には主に2つのデメリットがあります。
1つ目は膨大な作業工数です。 採用ピッチ資料には会社情報を詳細に盛り込む必要があるため、コンテンツが多くなりがちです。
採用資料の作成と並行して、社員のインタビューや撮影等も行う場合があります。
これらを合わせると、1つの資料を作成するのに2ヶ月程度の期間を要するケースもあり得ます。
2つ目が、多額のコストが発生することです。 長期間の作業に伴い人件費等の様々な経費が発生します。
これら2つが主なデメリットです。
採用ピッチ資料の効果的な4つの使い方
①自社の採用サイトやSNSで公開する
1つ目の効果的な使い方は、採用ピッチ資料を自社の採用サイトやSNSで公開することです。この対応により、下記のメリットが期待できるでしょう。
- SNSで拡散された場合、多くの求職者の目に留まります。その結果、転職を意識している潜在層にもアピールできる可能性があります。
②ダイレクトスカウトメール等に添付して送付する
2つ目の効果的な使い方が、ダイレクトスカウトメール等に採用ピッチ資料を添付して送付することです。この対応により、以下のようなメリットが期待できるでしょう。
- スカウトメールの本文だけでは伝えきれない情報を、資料に豊富に盛り込むことが可能です。
- スカウトメールの本文に長文を書く必要がなくなり、求職者が読みづらいと感じるリスクを低減させることが可能です。
③採用面談、採用面接の対象者に送付する
3つ目の効果的な使い方が、採用面談や採用面接の前に、採用ピッチ資料を対象者に送付することです。この対応により、以下のメリットが期待できるでしょう。
- 質の高い質疑応答やコミュニケーションができます。単なる企業説明に時間を取られずに、応募者の関心事項などに重点を置いた対話ができます。
④リファラル採用で使用する
4つ目の効果的な使い方が、リファラル採用で使用することです。この対応により、以下のメリットが期待できるでしょう。
- 社員が誤った情報を伝えてしまうことによるミスマッチのリスクが低減します。
採用ピッチ資料に盛り込むべき4つの項目
①会社紹介
会社紹介には、現在の事業内容やミッション・ビジョンなどを記載します。
記載する時は、事業情報だけではなく新しく展開する事業や中長期の展望など、先の情報も盛り込むと良いでしょう。
このような取り組みにより、既存の事業をベースにした人員補充だけではなく、新規事業など今後の展開に向けた採用活動もしやすくなります。
②求人情報
求人情報には、企業が求める人物像や現在募集している職種など、重要な情報を記載する必要があります。
具体的な内容としては、求める経歴やスキルに関する情報だけでなく、「こんな人と一緒に働きたい」「こんな人材を求めている」という、より具体的な人物像を記述することが大切です。
このように人物像を明確にしておくことで、求職者と企業とのミスマッチを防ぐことができます。
人物像を的確に記載するためには、社内で求める人材のペルソナを明確に設定しておく必要があります。
ペルソナが不明確な場合は、関係者によるワークショップを開催するなどして、求める人材像について議論を重ね、すり合わせを行うことをお勧めします。
このように、求人情報には単に求める経歴やスキルを列挙するだけでなく、企業が求める理想的な人物像を具体的に記載することが重要です。
③アピールポイント・今後の課題
まず、アピールポイントの項目では企業文化や風土などについて記載しますが、この内容は抽象的になりがちです。
抽象的なままでは分かりにくいため、具体的な業務の事例や社内イベントなどの情報を盛り込み、実際にその文化や風土がどのように表れているのかを明示することが重要です。
次に、今後の課題についてです。
この項目では、現状の課題と発生する問題点を率直に記述することをお勧めします。課題を隠さず開示することで、「この問題を解決し、会社の成長に貢献したい」と意欲の高い求職者に出会える可能性が高まります。
④その他の情報:選考フロー・福利厚生など
上記3つの項目と併せて、その他の情報も可能な限り記載しましょう。たとえば、選考フローや給与体系、福利厚生制度など、求職者が応募する際に気にするであろう事項です。
この項目は、採用ピッチ資料の目的(どのような求職者に何をアピールしたいか)によって、盛り込むべき内容は異なります。ターゲットとなる求職者が求める情報を熟慮した上で、記載しましょう。
採用ピッチ資料作成に向けた5つの手順
①会社の魅力・求める人物像を定義して、記載する
最初に会社の魅力となる点をはっきりと伝えましょう。
具体的には、先駆的な技術力、働きやすい環境、手厚い福利厚生等の要素などをアピールして記載します。
次に、求める人物像を定義して明文化してください。この時の重要なポイントは、曖昧な表現は避けてできるだけ詳細に記載することです。
ミスマッチを防ぎ、適切な人材を採用するためには、自社の魅力と求める人物像を明確かつ具体的に定義し、採用ピッチ資料に盛り込むことが肝心となります。
②印象的かつ簡潔な内容で伝える
採用ピッチ資料は掲載する情報量が多くなりがちな資料ですが、求職者に効果的にアピールするためには、印象的かつ簡潔な表現が重要です。以下のような工夫に取り組んでいきましょう。
- 伝えたい内容の本質を捉えて複雑な説明は避ける
- グラフや図を積極的に活用して文字情報を視覚的に分かりやすく伝える
- 動画コンテンツを制作し、音声やナレーションでも印象付ける
このようにビジュアル的な工夫を取り入れ、伝えたい要点を的確にアピールすることで、求職者の理解が深まり、興味関心を高めることにつながります。
③資料全体でストーリー性を意識しながら作成する
効果的な採用ピッチ資料を作成するには、単に必要な情報を記載するだけでは不十分です。資料全体を通して求職者が最後まで関心を持って読み進められるよう、ストーリー性のある構成を意識することが重要です。
具体的には、求職者が「次に何を知りたいのか」を想定しながら、項目の並び順を工夫します。適切な構成の一例を挙げると、以下のような流れとなります。
- 1.企業理念・ビジョン
- 2.事業概要
- 3.社員の生の声・働く環境
- 4.活躍事例・実績
- 5.待遇・キャリアパス
- 6.求める人物像
④求職者が知りたい情報を記載する
採用ピッチ資料を作成するときに、企業が一方的に伝えたい情報を記述するだけでは不十分です。求職者の知りたい情報に着目し、それらを記載することが重要です。
求職者が気になる代表的な点としては、以下のようなものが挙げられます。こちらを参考に記載を進めてみてください。
- 社内の人間関係やコミュニケーション
- キャリア形成の環境と将来的な成長可能性
- 休暇やワークライフバランスの取りやすさ
- 業務の具体的な内容やスケジュール
- 研修やスキルアップの機会
⑤資料展開後の効果検証を行い、内容を更新する
採用ピッチ資料の作成は一過性のものではありません。優秀な人材の獲得につなげるためには、資料を展開した後も、以下のような効果検証を行い内容を更新を続けることが重要です。
効果検証
- 資料の閲覧数や反応を分析し、求職者の関心度を把握する
- 応募数や質の高い人材の確保状況など、実際の効果を検証する
内容の更新
- 効果検証の結果を踏まえ、内容の見直しや改善を図る
- 企業の成長や変化に合わせて、最新の情報に更新する
採用ピッチ資料を最大限活用する3つのポイント
①面接の数日前に事前送付する
採用ピッチ資料は、面接の数日前に事前送付(あるいは事前にWeb公開)することがおすすめです。
その理由は、事前に会社への理解を深めてもらえれば、面接の場で「読めば分かる」ことを説明する時間を減らすことができるためです。
なお、面接当日に求職者に送るのではなく、数日前に送るようにしてください。
時間に余裕をもって資料を送ることで、会社や業務内容を誤解してしまう求職者や、情報収集をしないまま面接に臨む求職者の応募を減らし、ミスマッチを避けることができます。
②求職者や社内の意見をもとに改善を重ねる
採用ピッチ資料は、随時ブラッシュアップしていくことが大切です。
資料を使う中で自ずと改善点が見つかるはずです。それらを反映し、資料の品質を上げていきましょう。
具体的には、面接を受けた求職者に良かった点や改善点をヒアリングすると良いでしょう。また、資料には掲載されていない情報で、事前に知りたかった情報を聞くのも良いでしょう。採用ピッチ資料を使用した社員に、感想や使い勝手を聞くのも有効です。
③仲介者へアプローチする
中途採用などで仲介のエージェントを活用する場合は、エージェントに採用ピッチ資料を共有することも効果的です。
エージェントが自社への理解を深めてくれることで、ミスマッチしそうな人をスクリーニングし、より自社にフィットしそうな人を紹介してもらえることが期待されます。
こちらの記事では作成の流れや基本の構成を解説しています。
採用ピッチ資料を最大限活用して優秀な人材を惹きつけよう
採用ピッチ資料は優秀な人材の獲得を支えてくれる強力なツールです。Web公開によるリーチ拡大、面談・面接での事前送付によるスムーズな遷移等、その活用方法は多岐にわたります。
人材獲得競争が激しさを増す中、採用ピッチ資料とは何かを理解して適切に活用することは、企業が優位に立つための有力な手段となり得るはずです。ぜひ、積極的に取り組んでみてください。