プレゼンの基本3構成・11個の汎用フレームワークを解説
この記事では、プレゼンテーションの効果を最大化するための3つの基本構成と11個の汎用的なフレームワークを徹底解説します。併せて、プレゼンテーションのゴール設計から資料作成の留意点を含む実践的なテクニックもお伝えしていきます。ご紹介するフレームワークの使い方と資料作成の留意点を参考に、プレゼンテーションの質を向上させていきましょう。
目次
・プレゼンテーションとは?
- プレゼンテーションのゴール設計について
- プレゼンテーションの目標について
・プレゼンテーションの基本の3構成
- 1. イントロダクション
- 2. ボディ
- 3. クロージング
・プレゼンテーションの構成で使える汎用的な3つのフレームワーク
- ①SDS
- ②PREP
- ③CREC
・営業資料や提案書の構成で使える8つのフレームワーク
- ①DESC
- ②FABE
- ③BEAF
- ④TAPS
- ⑤新PASONAの法則
- ⑥QUESTの法則
- ⑦AIDMAの法則
- ⑧SUCCESsの法則
・プレゼンテーションの構成を資料に落とし込む際の留意点
プレゼンテーションとは?
プレゼンテーションのゴール設計について
プレゼンテーションのゴールとは、聞き手に行動してもらうことにあります。そのゴールを明確にする上で、論理的な構成を作るサポートをしてくれるフレームワークが役立ちます。
仮に、ゴールが曖昧な状態でフレームワークを活用しても、聞き手の理解や納得にはつながりません。その結果、聞き手の行動を促すことができなくなるため、注意が必要です。
プレゼンテーションの目標について
プレゼンテーションの成功には、3つの重要な目標設定が不可欠とされています。
第一の目標は、聞き手がプレゼンテーションの内容を確実に理解することです。
聞き手に伝えたいことが理解されなければ、その後の行動につながる可能性は極めて低くなるため、この点を意識して取り組みましょう。
第二の目標は、聞き手がプレゼンテーションの内容に納得することです。
納得とは、話し手のメッセージが聞き手の心に深く響いた状態を指します。この「腹落ち」した状態は、次の行動を起こす強い動機となってくれます。
第三の目標は、聞き手がプレゼンテーションの内容に基づいて具体的な行動を起こせるようにすることです。何をすべきかが明確になってはじめて、聞き手は実際の行動に移ってくれます。
これら3つの目標を意識してプレゼンテーションを構築することで、聞き手の理解から行動までの一連の流れを作りだすことができます。
プレゼンテーションの基本の3構成
プレゼンテーションの基本構成について、確認しておきましょう。
プレゼンテーションをするシチュエーションはさまざまですが、どのようなプレゼンテーションも、基本的に次の3つの要素から成り立っています。
1.イントロダクション
2.ボディ
3.クロージング
1. イントロダクション
イントロダクションはプレゼンテーションの導入部分で、「表紙」「目次」「自己紹介」「目的・趣旨」などが含まれます。
イントロダクションでは、聞き手の関心を引きつけ、聞き手との間に信頼関係をつくり、プレゼンテーションへの参加意識を高めましょう。
聞き手の関心を引きつけるためにはまず、イントロダクションでプレゼンテーションの全体像、提案する内容のメリットなどを端的に伝えるとよいでしょう。聞き手のニーズにあったテーマを提示することで、聞き手は自分ごとと捉えて、プレゼンテーションの内容に関心を持ってくれます。
信頼関係をつくるためには、聞き手が共感したり安心できる内容を盛り込むことがおすすめです。
たとえば、聞き手が初対面であれば、イントロダクションで自分がどのような人間なのか、簡単に自己紹介をするとよいでしょう。
プレゼンテーションへの参加意識を高めるためには、聞き手に質問を投げかけてみたり、インパクトのあるデータを出しながら問題提起をしたり、結論を予告するなどの方策が有効です。
2. ボディ
ボディはプレゼンテーションの主要部です。主張とその理由付けでボディを構成し、説得力のあるプレゼンテーションにしましょう。
主張や提案内容だけで構成されたプレゼンテーションは、説得力に欠けるため聞き手を納得させることができません。
その結果、プレゼンテーションの目的である、「聞き手の行動」を促すことができなくなります。聞き手を納得させるためには、主張や提案内容を強固なものにする根拠や理由、事例、データなどを用意する必要があります。
3. クロージング
クロージングには、「まとめ」や「質疑応答」、「ネクストアクション」などが含まれます。内容の要約や、今後の動きについての提案を示し、質疑応答につなげましょう。
クロージングはプレゼンテーションの終盤である分、聞き手の記憶にも残りやすいと言えます。
そのため、プレゼンテーションで最も伝えたかったことは何なのか、そして聞き手にどのような行動を期待するのかを明確に示すことが重要です。
プレゼンテーションの構成で使える汎用的な3つのフレームワーク
ここでは、さまざまな用途のプレゼンテーションに適用できる汎用性の高いフレームワーク(構成の枠組み)を紹介します。
以下で紹介するSDS、PREP、CRECというフレームワークは、構成の中核となるボディ部分で活用すると効果的です。
①SDS
SDS(エスディーエス)は、「Summary(要約)→Detail(詳細)→Summary(要約)」という構成のフレームワークです。「結論」→「根拠」→「結論」というシンプルな論理展開でプレゼンテーションを進めたい場合などに有効で、さまざまなプレゼンテーションに活用できるフレームワークです。
SDSを使って新しい商品を紹介する場合、まずどのような商品なのかの概要を説明し(S)、次に商品の特徴やおすすめする理由を詳しく説明し(D)、最後にその商品のセールスポイントをもう一度念押しする(S)といった構成が考えられます。
SDSのフレームワークは、構成の大枠を考えるときに意識すると良いでしょう。
②PREP
PREPは、「Point(主張)→Reason(理由)→Example(具体例)→Point(主張)」という構成のフレームワークです。
PREPを使って新しい商品を紹介する場合、まずどのような商品なのか概要を説明し(P)、次に商品の特徴やおすすめする理由を詳しく説明し(R)、商品を実際に使った人の事例を紹介し(E)、最後にその商品のセールスポイントをもう一度念押しする(P)といった構成が考えられます。
SDSの根拠の部分を、理由と具体例の2つに増やすことによって、より説得力を高めた構成になります。
③CREC
CRECは「Conclusion(結論)→Reason(理由)→Example(具体例)→Conclusion(結論)」の略称です。PREPフレームワークと非常に似た構成ですが、より結論が強調された構成となっています。
このフレームワークの重要性は、日本人が苦手とする「結論から話す」スキルの向上に役立つとされています。
また、このフレームワークは、プレゼンテーションだけでなく日常会話でも活用でき、明確な構成により聞き手にとって理解しやすいメッセージを作り出すことが可能となります。
営業資料や提案書の構成で使える8つのフレームワーク
ここでは特に、営業資料や提案書の構成で使える8つのフレームワークを紹介します。
①DESC
DESCは、「Describe(描写)→Express(表現)→Suggest/Specify(提案)→Consequence(結果)」という構成のフレームワークです。
DESCを使って新しい商品を紹介する場合、まず日常生活でありがちな悩みや問題点などを客観的に提示し(D)、それに対するプレゼンターの主観的な意見を伝え(E)、現状を改善するためにおすすめしたい商品を紹介します(S)。
そして最後に、その商品を購入すると現状がどのように改善されるかを伝える(C)といった構成が考えられます。
Describeパートで客観的な事実の説明から入ることで、提案部分に説得力を持たせることができます。
②FABE
FABEは、「Feature(特徴)→Advantage(利点)→Benefit(恩恵)→Evidence(根拠)」という構成のフレームワークです。
FABEを使って新しい商品を紹介する場合、まず商品の特徴を提示し(Feature)、次にその商品が競合商品よりも優れている点を強調し(Advantage)、さらにその商品を使うことで顧客が得られるメリットを伝えます(Benefit)。
そして最後に、数字などを挙げながらその商品をおすすめする根拠を補強する(Evidence)といった構成が考えられます。
競合との差分を伝えた後に顧客の得られるメリットを伝える構成で、自社商品のユニークなポイントを強く伝えたいときなどに有効です。
③BEAF
BEAFは、「Benefit(恩恵)→Evidence(根拠)→Advantage(利点)→Feature(特徴)」という構成のフレームワークです。上で紹介したFABEと項目は同じですが、項目の順番が異なります。
BEAFを使って新しい商品を紹介する場合、その商品を使うことにで得られるメリットを冒頭で伝え(Benefit)、次にそのメリットの根拠をデータを挙げて説明します(Evidence)。
次にその商品が競合商品よりも優れている点を強調し(Advantage)、最後に商品の詳しい特徴を提示する(Feature)といった構成が考えられます。
冒頭で顧客目線での恩恵を述べるところが特徴です。冒頭から顧客の興味関心を刺激することができれば、有効なフレームワークです。
④TAPS
TAPSは、「To Be(あるべき状態)→As is(現実の状態)→Problem(問題)→Solution(提案)」という構成のフレームワークです。
たとえばTAPSを使って新しい商品を紹介する場合、まずは顧客の悩みが解決された理想の状態について描写した上で(To Be)、現状を把握します(As is)。
そして、現状を理想に近づけるために解決すべき問題点を示し(Problem)、最後にその解決策となる商品を提案します(Solution)。
TAPSは問題の共有に至るまでの説明が厚いために、聞き手に自分ごと化してもらいやすいという特徴があります。
⑤新PASONAの法則
新PASONAの法則は、「Problem(問題)→Affinity(親近感)→Solution(解決策)→Offer(提案)→Narrow down(絞り込み)→Action(行動)」という構成のフレームワークです。
新PASONAの法則を使って新しい商品を紹介する場合、まずは現状の問題点を聞き手と共有します(Problem)。次にその問題点に対する悩みの声などを提示することによって、聞き手に親近感を持ってもらいます(Affinity)。
その上で、問題を解決するための方法を提案し(Solution)、新しい商品を紹介します(Offer)。
さらに、競合商品やキャンペーン情報などについて触れながら自社商品を使うメリットを伝え(Narrow down)、最後に商品の購入方法を伝え購買を促す(Action)といった構成が考えられます。
問題提起と共感を得るための親近感を冒頭に挟むため、ニーズの顕在化していない相手に対して効果的です。そのため、セールスレターやWEBのランディングページなどビジネスシーンで幅広く活用されています。
⑥QUESTの法則
QUESTの法則は、「Qualify(絞り込み)→Understand(理解)→Educate(教育)→Stimulate(刺激)→Transition(変化)」という構成のフレームワークです。
QUESTの法則を使って新しい商品を紹介する場合、まずどのような人におすすめの商品なのかを伝え(Qualify)、顧客の抱える問題や悩みに共感を示します(Understand)。
その解決策としての新商品を紹介し(Educate)、顧客の購買意欲につなげる(Transition)といった構成が考えられます。
このように、QUESTは冒頭でターゲットを絞る点で他のフレームワークとは異なっており、顧客のニーズが顕在化している場合に有効なフレームワークといえます。
⑦AIDMAの法則
AIDMAの法則は、「Attention(注意)」「Interest(関心)」「Desire(欲求)」「Memory(記憶)」「Action(行動)」の頭文字から成るフレームワークです。
こちらは、顧客の購買心理プロセスを表すフレームワークとされています。そのため、AIDMAの法則を意識してプレゼンテーションを構築すると、商品やサービスの効果的な営業が可能となり、受注率の向上が期待できます。
⑧SUCCESsの法則
SUCCESsの法則は、効果的なメッセージを伝える上で重要な6つのポイントを示すフレームワークです。
6つのポイント・指針とは、 Simple(単純明快)、Unexpected(意外性)、Concrete(具体的)、Credible(信頼性)、Emotional(感情に訴える)、Story(物語性)です。
SUCCESsの法則は従来のプレゼンのフレームワークとは異なりますが、この構成を意識して感情に訴えていくことで、より効果的で記憶に残るプレゼンテーションを実現することができます。
プレゼンテーションの構成を資料に落とし込む際の留意点
プレゼンテーションの構成を決めたら、これをもとに内容を肉付けしていきます。
資料をパワーポイントで作成する場合、1スライドに複数のメッセージを盛り込むと、聞き手にとってはどの情報が重要なのかがわかりづらくなります。したがって、構成をスライドに落とし込む際には、原則として「1スライドに1メッセージ」を配置することを意識しましょう。
構成を各スライドに展開する際の手順については、下記の記事で詳しく解説しておりますので、ぜひ併せてご確認ください。