ピッチ資料とは?作り方や基本構成・具体的な事例をスタートアップ向けに解説

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ピッチ資料とは?作り方や基本構成・具体的な事例をスタートアップ向けに解説

スタートアップは、資金を調達できるかによって成長性が大きく左右されます。その成否を大きく左右するのが、ピッチ資料の質です。
優れたピッチ資料は、事業の可能性を投資家に確実に伝え、次のステージへの飛躍を後押しします。その一方で、ピッチ資料の作成に悩む創業者は少なくありません。
本記事では、スタートアップ向けにピッチ資料の基本から実践的なテクニックまでを解説します。これから資金調達に臨む創業者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

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ピッチ資料とは

ピッチとは、投資家などに自社やサービスを紹介するための短いプレゼンテーションです。IT業界の中心地であるシリコンバレー由来で、スタートアップ界隈を中心に使用されています。

ピッチ資料の主な目的は、自社のビジネスに興味と理解を得て、投資などの行動をしてもらうことです。また、投資以外にも採用を目的としてピッチ資料を使用することもあります。

ベンチャーカンファレンスなど不特定多数の聞き手を対象にプレゼンテーションを行う場合も多く、共感のしやすさや簡潔に伝えられるかどうかが重視されます。

なお、採用目的でピッチ資料を活用する場合については、こちらの記事を参考にしてみてください。

優秀な人材を惹きつける採用ピッチ資料とは?| 作成の手順から活用のポイントまで徹底解説

ピッチ資料の作り方【スタートアップ向け】

ピッチ資料の作成には、いくつかの重要なステップがあります。ここでは、効果的なピッチ資料を作るための4つのポイントを紹介します。

ピッチ資料の作成手順

ぜひ参考にしてみてください。

1. 目的を明確にする

まず、何の目的でピッチ資料を作成するのかを明確にする必要があります。ピッチ資料を作成する目的として、以下のような例が挙げられるでしょう。

  • 資金を調達するために、投資家に向けてメイン事業について知ってもらう
  • 優秀な人材を確保するために、求職者に自社の魅力を知ってもらう

資金調達が目的ならば、事業の収益性成長性をアピールする必要があります。一方、人材確保が目的ならば、企業文化や福利厚生・組織風土について紹介する内容が適しているでしょう。

資料作成の前に、具体的な成果目標を明確にすることが大切です。

2. 構成を検討する

論理的な構成づくりがピッチ資料の質を左右します。構成を組み立てる際は、ピッチ資料に盛り込みたい内容を洗い出すことから始めましょう。そのなかから、資料を作成する目的に沿った内容をピックアップし、スライドに落とし込んでいきます。

ピッチ資料における構成の要素は、「ピッチ資料の基本構成9要素」で詳しく解説するので、そちらをご覧ください。構成にそってピックアップした内容を当てはめていけば、ピッチ資料の大枠が決まります。

3. ストーリーを組み立てる

効果的なピッチ資料を作るためには、一貫したストーリーラインで顧客の心を掴む必要があります。ピッチ資料は、短い時間で相手に強い印象を与える必要があるため、事実を淡々と述べるのではなく聞き手の心を揺さぶる工夫が求められます。

たとえば、以下のような流れが挙げられるでしょう。

  1. 1. 顧客が直面している課題や市場の問題点を具体的に示す
  2. 2. その課題がなぜ今解決すべき重要な問題なのかを、市場データや顧客の声を交えて説明する
  3. 3. 自社のソリューションがその課題をどのように解決するのか、具体的な導入効果とともに示す
  4. 4. 競合との比較ではなく、顧客にとっての価値を中心に据えたストーリーを展開する
  5. 5. 成功事例や実証データを効果的に組み込み、提案の実現可能性を裏付ける
  6. 6. 最後に、導入後の未来像を具体的に描き、顧客と共に実現する価値を明確にする

このような話の流れは、構成を決める段階である程度固められます。「なぜその課題を解決する必要があるのか」「なぜ今解決しなければならないのか」「なぜ自分たちがやるのか」について、根拠をもとにストーリーに落とし込みましょう

4. デザインを設計する

視覚的な要素は、メッセージで最も重要な部分を引き立てるようにデザインします。頭を使わないと理解できないようなスライドデザインは、ピッチ資料にはふさわしくありません。

一目で理解できるスライドを作成するには、1スライドにつき1つのメッセージという原則を守り、情報の密度を適切に保つ必要があります。グラフや図表は、複雑な情報をシンプルに伝えるツールとして積極的に活用し、直感的に理解できるよう工夫しましょう。

ピッチ資料の基本構成9要素

ここでは、効果的なピッチ資料を作成するための基本的な構成要素について詳しく解説します。以下の9つの要素を押さえることで、説得力のある資料を作成できます。

  1. 1. 表紙
  2. 2. 顧客の課題
  3. 3. 解決策
  4. 4. トラクション
  5. 5. 市場規模
  6. 6. 競合のリストアップ
  7. 7. ビジネスモデル
  8. 8. チーム
  9. 9. 資金調達計画と使い方

ひとつずつ見ていきましょう。

1. 表紙

ピッチ資料1ページ目は、タイトルスライドです。表紙にタイトルと企業ロゴ・事業に関連する写真などを入れることで、ピッチ資料の内容をわかりやすく伝えられます。

2. 顧客の課題

ピッチ資料で紹介する商品やサービスにおけるターゲット層顧客が抱えている課題について説明します。顧客が抱えている課題の深刻さや、それを解決したときのインパクトなどを語り、共感を得ましょう。

また「なぜ自分がその課題に詳しいのか」「関心を持っているか」についても、原体験などと絡めながら説明できれば、説得力を高められます。

加えて、これまで課題が放置され続けてきた理由についても説明しましょう。「そもそも解決しなくてもよい課題だから今まで放置されてきたのでは?」という反論に対して納得のいく説明ができれば、課題解決の必要性を効果的に伝えられます。

3. 解決策

次に、課題に対する解決策を伝えましょう。どのように課題を解決するのか、さまざまな解決策があるなかでなぜその策なのかを提示します。

サービスのプロトタイプなどがあれば、写真や動画で視覚的に示すことで、解決策がよりイメージしやすくなります。シード期の資金調達を狙う場合は、まずは短期的な解決策を提示しましょう。

4. トラクション

トランクションとは、どれだけの顧客を引っ張り、成長できるかを表す指標のことです。つまり、ビジネスの成長の可能性を示す実績があるかどうかを説明します。

トランクションが重要視される理由は、マーケットのニーズがないことが事業を成長させられない大きな要因であるためです。

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実績は、売上やユーザー数の推移・LTV(ライフタイムバリュー)・成長率・サービス継続率など既存の実績をもとに定量的に示しましょう。

実際にユーザーに受け入れられ、成長が見込めることがわかるデータを提示するのがポイントです。

5. 市場規模

次に、市場規模想定される売上などを説明します。市場規模はスタートアップの成長ポテンシャルを測るうえで必要不可欠な要素です。

投資家がアップサイドの大きさに惹かれるような市場規模を示す必要があります。とはいえ、最初は小規模な市場にフォーカスしていくことになるため、獲得可能性のある大きな市場規模と、実際にサービスを提供し主戦場とする市場規模の両方を示しましょう。

最初はどの市場を狙い、どのような順番でスケールさせていくかを論理的に語ることが大切です。

6. 競合のリストアップ

競合をリストアップし、特徴を説明します。競合との差別化要因・自社ならではの優位性を明確にするために、縦軸と横軸をとったポジショニングマップで図示すると伝わりやすくなるでしょう。

ビジネスモデルの独自性や、経営者やチームメンバーの経歴なども含め、自社のUSP(Unique Selling Proposition:自社ならではの強み)をアピールします。

7. ビジネスモデル

ビジネスモデルのページでは、どのように収益を得るのかを明らかにすることが重要です。どのタイミングで、誰から、どれほどの売上が出るのかを説明します。

サービス・情報・お金の流れが複雑な場合は、図解化するとわかりやすくなります。

ビジネスモデル

売上が立つ前であっても、可能な限り現実的な数値を算定しましょう。

8. チーム

ここまで説明してきたビジネスを、どのような体制で行うかを紹介します。チームメンバーを紹介し、なぜこのチームで達成できるかを伝えるのがポイントです。

このビジネスで顧客の課題を解決でき、他の競合に勝てる理由を体制面からアピールしましょう。事業と関連のあるメンバーの前職の経歴や実績・学歴などを掲載すると聞き手に安心感を与えられます。

9. 資金調達計画と使い方

資金調達計画と使い方の段落では、必要な金額規模用途を詳しく説明します。企業価値バリュエーションや株式の放出割合・資金調達スキーム・株式会社の種類・資金の投下期間なども記載しましょう。

具体的な数値を出して、その資金を使って得る資源や成果を定義します。聞き手が知りたい内容を想像しながら、事業のポイントをまとめていくことが重要です。

わかりやすいピッチ資料を作るためのポイント

ここでは、効果的なピッチ資料を作成するための5つの重要なポイントについて解説します。

  1. 1. 1スライド1メッセージを意識する
  2. 2. 図解を活用する
  3. 3. 短さを意識する
  4. 4. 熱意を伝える
  5. 5. 投資家に合わせて資料を作る

詳しく見ていきましょう。

1. 1スライド1メッセージを意識する

わかりやすいピッチ資料を作るには、各スライドに核となる1つのメッセージのみを配置し、余分な情報は省くことが大切です。

1枚のスライドに多くの情報が掲載されていると、聞き手は情報を整理しなくてはいけなくなるため、直感的に理解しづらくなります。たとえば、市場規模を説明するスライドの場合、成長率や将来予測などの情報は1枚のスライドに収めるのではなく、2枚のスライドに分けて説明するなどの工夫が必要です。

また、視覚的な余白を確保することで、メッセージの印象を強める効果も期待できます。

2. 図解を活用する

複雑な情報は、図解によって直感的に理解できるよう工夫しましょう。市場分析にはグラフ、プロセス説明にはフローチャート、比較にはテーブルを用いるとわかりやすい資料を作成できます。

図解は装飾ではなく、メッセージを視覚的に補強するツールとして機能させましょう。

図解の作り方について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。

図解の作り方を3ステップで解説!種類やツール・テンプレートも紹介

3. 短さを意識する

ピッチ資料を作る際は、1枚のスライドで長々と説明するのではなく、テンポよくスライドが切り替わるスタイルを目指しましょう。質の高いピッチ資料は、限られた時間で聞き手の印象に残るように作り込まれています。

1枚のスライドの説明時間は、30秒から1分を想定して構成するのが目安です。そのためには、聞き手が頭を使わなくても直感的に理解できるようシンプルなスライドデザインを意識する必要があります。

4. 熱意を伝える

投資家の心を動かすには、ビジネスモデルの健全性や成長可能性はもちろんのこと、創業者自身の強い思いを訴えることも非常に重要です。

創業者自身の原体験や解決への強い思いを、具体的なストーリーとして展開しましょう。なぜその課題に取り組むのか、個人的な動機や社会的な意義を明確に示します。

市場機会の大きさだけでなく、解決によって生まれる社会的インパクトも強調します。これまでの成果や顧客からのフィードバックを、情熱的に語る材料として活用すると良いでしょう。

5. 投資家に合わせて資料を作る

効果的に資金を獲得するには、投資家の投資領域や過去の実績をリサーチする努力も必要です。

どのような投資家層にプレゼンするのかによって、ピッチ資料でアピールする内容を調整することが求められます。

たとえば、以下のような工夫が必要です。

  • 投資家が重視する指標(市場規模・収益性・成長率など)に焦点を当てた資料を作成する
  • 想定される質問や懸念事項への回答をデータや事例と共に準備する

また、競合分析や市場環境の説明は、投資家の知見レベルに合わせて詳細度を調整することも大切です。資金調達の使途や事業計画は、投資家が期待する収益時期を意識して設計すると良いでしょう。

ピッチ資料を作成して資金調達を成功させましょう

優れたピッチ資料は、投資家との対話の入り口となり、事業の可能性を最大限に引き出す重要なツールです。創業者の熱意と事業への確信を込めた資料作りに取り組めば、投資家の心を動かせるでしょう。

なお、弊社ストリームラインは、1000社を超える資料制作に携わった実績があります。「自社で資料制作するリソースを割けない」「クオリティが高い資料を用意したい!」という方は、弊社の資料作成代行サービス「バーチャルプランナー」にぜひご相談ください!

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