海外投資家とは?具体的な特徴やアプローチ方法・IRを実施するメリットについて紹介

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海外投資家とは?具体的な特徴やアプローチ方法・IRを実施するメリットについて紹介

グローバル化が進む現在、日本企業にとって海外投資家の存在は無視できないものとなっています。
実際、東京証券取引所における取引の約60%を占める海外投資家は、日本の株式市場に大きな影響力を持ち、企業の成長戦略や資金調達に重要な役割を果たしています。
海外投資家の特性を理解して効果的にアプローチするためには、IR活動を戦略的に進める必要があるでしょう。
本記事では、海外投資家の特徴や投資判断基準・効果的なIR活動のポイントを解説し、海外投資家との関係構築が企業にもたらすメリットについて紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
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海外投資家とは

海外投資家は、日本以外の国や地域に拠点を置き、日本企業の株式や債券・不動産などに投資を行う個人や機関のことです。

彼らは、高度な分析能力情報収集力を持ち、グローバルな視点で投資判断を行います。また、企業の財務状況だけでなく、業界動向や経済状況・政治情勢なども考慮に入れて投資を決定します。

企業価値向上のための提言を行うことが多いのも特徴です。

海外投資家の存在は、コーポレートガバナンスを強化する日本企業の取り組みにも大きな影響を与えています。

海外投資家の特徴

海外投資家について詳しく理解するために、その特徴を5つ解説します。

  1. 日本株市場での影響力が大きい
  2. IR情報を重視する傾向がある
  3. 経営陣との直接的な対話を重視する
  4. 長期的な株主になる可能性がある
  5. グローバルな視点で投資判断をする

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1. 日本株市場での影響力が大きい

海外投資家は、日本の株式市場において大きな影響力を持っており、東京証券取引所や大阪取引所における海外投資家の取引高の割合は、60%を超えています。

海外投資家の動向は市場関係者に注目され、外国人投資家の売買状況が株価全体の動きと強い相関関係にあります。

彼らは、日本の株式市場の活性化に不可欠な存在といえるでしょう。

2. IR情報を重視する傾向がある

海外投資家は、IR情報を非常に重視する傾向にあり、とくに注目するIR情報には社長メッセージ株価データ決算関連資料アニュアルレポートなどが含まれます。

海外投資家は、企業の定性面だけでなく、同業他社との比較における経営指標の優位性などの定量面も重視しています。

とくに重要視されるのは、企業が取り組む課題や戦略のポイント進捗状況、そして経営陣との直接的なコミュニケーションです。

また、メッセージの具体性やシンプルさも求められており、抽象的な表現よりも会社の事業領域や強み・競争力を明確に伝えることが重要です。

経営者の顔が見えるIR活動は、海外投資家との信頼構築につながり、投資判断に大きな影響を与えるでしょう。

3. 経営陣との直接的な対話を重視する

海外投資家は、経営陣との直接的な対話を非常に重視しています。

彼らは、企業の代表者と直接会話できる機会をとくに価値あるものと捉える傾向にあり、投資判断を下す際の重要な材料としています。

そのため、経営陣と直接対話することで、海外投資家との信頼関係を構築する効果が期待できるでしょう。

多くの企業では、社長やCEOが海外投資家との対話に積極的に参加し、経営戦略や業績見通しについて直接説明しています。

経営トップが直接プレゼンテーションを行うことで、メッセージの信頼性が高まり、海外投資家との信頼を構築できるでしょう。

4. 長期的な株主になる可能性がある

海外投資家は、長期的な株主になる可能性を秘めています。海外投資家を惹きつけて経営資金を獲得することは、企業の長期投資や研究開発・雇用を促進する効果が期待できます。

実際に、シンガポール政府系ファンドのGICのように、30年以上にわたって日本に投資を続け、あらゆるアセットクラスで実績を上げている投資家も存在するほどです。

また、海外の長期投資家は、企業の自己資本利益率(ROE)を重視しており、収益性が低い企業には投資しない傾向があります。

ROEを高めて企業価値を向上させれば、より多くの海外長期投資家を惹きつけられるでしょう。

5. グローバルな視点で投資判断をする

グローバルな視点で投資判断を行うのも、海外投資家の特徴です。投資対象国の経済成長率や市場規模などを綿密に調査し、リスクとリターンのバランスを慎重に見極めます。

また、企業の財務状況だけでなくESG(環境・社会・ガバナンス)要因も重視するため、持続可能な成長を見込める企業を好んで選ぶ傾向があります。

海外投資家のグローバルな視点は、投資先企業に国際競争力の向上を促す効果があるでしょう。

ESGの取り組みについて詳しく知りたい人は、以下の記事を参考にしてみてください。

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海外投資家に向けて効果的にアプローチする方法

海外投資家に効果的にアプローチするためには、戦略的なIR活動が欠かせません。ここでは、海外投資家へのアプローチ方法として3つの重要なポイントを紹介します。

  1. IR活動に積極的に取り組む
  2. 資料は英語で作成する
  3. 長期的な目線で投資家との信頼関係を構築する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1. IR活動に積極的に取り組む

海外投資家に向けた効果的なIR活動は、企業の成長と価値向上に不可欠です。

多様なチャネルを活用し、対面での説明会だけでなく、Webサイトなども活用して情報を提供しましょう。正確かつ透明性の高い情報開示を心がけ、海外投資家のニーズに応じたコミュニケーションを行うことも大切です。

IR活動は海外投資家からの投資を促進させ、ひいては円滑な資金調達ブランドイメージ向上グローバルな事業展開にもプラスの効果をもたらすでしょう。

2. 資料は英語で作成する

海外投資家に向けて効果的にアプローチするには、英語で資料を作成する必要があります。まず、決算短信やIR資料・アニュアルレポートなどの文書を英語で作成します。

日本版と英語版の同時開示が理想的ですが、時間がかかる場合でも可能な限り迅速に英語版を提供しましょう。

専門的な翻訳サービスを利用し、財務会計IR分野の専門知識を持つ翻訳者に依頼することで、高品質な英語資料を作成できます。英語での情報開示は、海外投資家からの評価や投資判断に直接影響するため、積極的に取り組むべきでしょう。

IR資料の英文開示については、以下の記事を参考にしてみてください。

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3. 長期的な目線で投資家との信頼関係を構築する

海外投資家と長期的な信頼関係を構築することは、IR活動の基盤です。投資家との定期的なコミュニケーションを維持し、企業の最新情報や戦略を共有することが重要です。

透明性と一貫性のある情報開示を心がけ、良いニュースも悪いニュースも誠実に伝えることで信頼を築けます。また、単なる情報提供にとどまらず、投資家からのフィードバックに耳を傾け、その内容を経営戦略に反映させる姿勢を示すことも大切です。

海外投資家との関係は一方通行ではなく、相互理解と信頼に基づくパートナーシップとして育てていく必要があることをおさえておきましょう。

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海外投資家に向けたIRを実施する際のポイント

海外投資家に向けたIRを効果的に実施するためには、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、特に重要な3つのポイントを紹介します。

  1. 海外ロードショーを実施する
  2. 日本と海外の間にある常識のズレを埋める補足資料を作成する
  3. 海外投資家のペースにのまれないようにする

ひとつずつ見ていきましょう。

1. 海外ロードショーを実施する

海外ロードショーは、海外投資家に自社の魅力を直接伝えるチャンスです。ロードショーでは、経営陣が複数の都市を訪問し、アナリストやファンドマネージャー・潜在的投資家に対して企業の株式ストーリーを提示します。

近年は、バーチャルロードショーも増加しています。その理由は、以下のとおりです。

  • 時間と費用の節約
  • より多くの投資家へのリーチ
  • 参加率の向上 など

また、プレゼンテーション後の質疑応答では、投資家に重要な事実や数字を説得力を持って伝えるチャンスです。海外投資家との直接対話は、企業の国際的な認知度を高め、長期的な投資家関係を構築する効果が期待できるでしょう。

ロードショーマテリアルについては、以下の記事を参考にしてみてください。 

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2. 日本と海外の間にある常識のズレを埋める補足資料を作成する

海外投資家に向けたIRを実施する際は、日本と海外の間にある常識のズレを埋める補足資料を作成しましょう。

基本的に海外投資家は、日本とは異なる文化的背景や投資習慣を持っていることが多いため、日本企業特有の事業環境や慣行について丁寧に説明する姿勢が求められます。

とくに、業界特有の用語日本市場特有の規制などについては、グローバルな視点から理解しやすい形で解説する補足資料を用意するとよいでしょう。

文化的多様性を理解し尊重することは、国際協力や相互理解を促進するうえで不可欠です。

補足資料では、企業の事業内容や戦略を明確かつ簡潔に説明し、海外投資家が自社の価値を正確に理解できるよう工夫しましょう。このような文化的ギャップを埋める努力は、海外投資家との信頼関係を構築するために必要です。

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3. 海外投資家のペースにのまれないようにする

海外投資家向けのIRを実施する際は、自社のペースを保ちつつ効果的なコミュニケーションを図ることが重要です。

まず、自社の経営戦略や財務状況を理解し、一貫したメッセージを発信する姿勢を維持しましょう。

海外投資家の要求に応じつつも、短期的な成果にこだわらず、中長期的な企業価値向上の視点を忘れないことが大切です。

海外投資家の期待に応えつつ、自社の経営方針や企業文化を維持するバランスを取ることが成功の鍵といえます。

海外投資家は日本市場にどのような影響を与えるのか

効果的な海外投資家向けIRを行うためには、彼らが日本市場にどのような影響を与えているかを理解することが重要です。ここでは、海外投資家が日本市場に与える影響を3つのポイントから解説します。

  1. 市場全体のトレンドを形成する要因となっている
  2. 市場の流動性を向上させる
  3. コーポレートガバナンス改革を推し進める

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1. 市場全体のトレンドを形成する要因となっている

海外投資家は日本株式市場において、市場全体のトレンドを形成する重要な要因です。実際、東京証券取引所における海外投資家の取引シェアは、1980年代の約10%から現在では約60%にまで拡大しています。

海外投資家の売買動向は、日本株式市場の価格形成に大きな影響を与えています。

2023年5月には、ウォーレン・バフェットが日本企業への投資を増やしたことが明らかになったあと、海外投資家による日本株式の購入額が過去最高の約2.4兆円に達しました。

海外投資家の存在は、市場の流動性を高め、日本株式市場の効率性向上にも貢献しているといえます。

2. 市場の流動性を向上させる

海外投資家は、日本の株式市場における重要なプレーヤーであり、市場の流動性向上に大きく貢献しています。

とくに、2015年以降プライム市場(旧東証1部市場)における外国人投資家の売買比率は約70%を占めており、日本の株式市場は海外投資家主導で復活を遂げてきました。

また、2012年末以降、日本の株式市場の流動性は急激に高まり、2013年5月末には米国市場を上回るほどになっています。

このような流動性の向上は、海外投資家が積極的に売買に参加したことによるものであり、市場全体の効率性向上に影響を与えているといえるでしょう。

3. コーポレートガバナンス改革を推し進める

海外投資家は、日本のコーポレートガバナンス改革を強力に推し進める役割を果たしています。

とくに、会社法改正や東京証券取引所によるコーポレートガバナンス・コードの導入など、日本のガバナンス制度改革は加速しています。

実際、2022年に岸田首相がニューヨーク証券取引所でコーポレートガバナンス改革の強化を表明しました。そして、海外投資家の意見を聞くための「日本コーポレートガバナンス・フォーラム」が設立されています。

海外投資家が増えることで、日本特有の株式持ち合いの減少や、独立した外部モニタリング機能の強化といったプラスの影響を受けているといえるでしょう。

海外投資家に向けたIR活動に取り組み信頼関係を構築しましょう

海外投資家と密に関係性を構築することは、企業価値を高めていくうえで重要です。積極的な英語での情報開示と透明性の高いコミュニケーションが信頼構築の第一歩です。

海外投資家を惹きつけるには、海外ロードショーやオンライン説明会を活用し、経営陣自らが企業の魅力や成長戦略を直接伝える必要があります。

また、日本と海外の文化的ギャップを埋める丁寧な説明資料を用意し、グローバルな視点からも理解しやすい情報発信を心がけることも大切です。

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