IR資料の英文開示は義務!英語に翻訳するメリットやデザイン調整のコツを紹介

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IR資料の英文開示は義務!英訳するメリットやデザイン調整のコツ

グローバル化が進む現代のビジネス環境において、IR資料を英文開示する取り組みは国際的な競争力を高める効果が期待できます。

本記事では、900社以上の資料作成に携わった弊社ストリームラインが、以下のテーマについて解説します。

  • IR資料英文開示義務化と その背景
  • 英文開示によって得られる具体的なメリット
  • 効果的な英文IR資料作成のポイントと注意点

資料の英文開示に取り組む方や海外投資家とのコミュニケーション強化を目指す方に向けて解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

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東証によりIR資料の英文開示が義務化された

まず、IR資料における英文開示の義務化について、概要を見ていきましょう。

  1. 1.義務化のタイミングと範囲
  2. 2.英文開示の状況
  3. 3.実施しなかった場合の措置

1. 義務化のタイミングと範囲

東京証券取引所は、プライム市場において2025年4月1以降に公表するIR資料を英文で開示することを義務化しました。具体的には、決算短信や適時開示資料、コーポレート・ガバナンス報告書などが対象です。

英文化することを求められる資料の範囲は図のとおりです。

英文開示は日本語の資料と同時に行わなくてはいけないことが、注意すべきポイントです。また、すべての書類の全文を日本語と同時に開示するのが理想的ではあるものの、概要や一部でも可とされています。

現段階では英文開示の義務化は、プライム市場に限定されており、スタンダード市場やグロース市場はIR資料の義務化は明言されていません。とはいえ、海外投資家にアピールする手段として資料の英文化は有効であるため、プライム市場に該当しない企業も積極的に取り組んでいくべきと言えるでしょう。

弊社ストリームラインでは、英文スライドのデザイン作成も承っております。IR資料の英文開示対応をお考えの方は、資料作成代行サービス「LEAD」までお気軽にご相談ください。

2. 英文開示の状況

英文開示の実施率は、以下のとおりです。

市場区分英文開示実施率
プライム市場98.2%
スタンダード市場32.1%
グロース市場30.8%
出典:株式会社東京証券取引所(英文開示実施状況調査集計レポート)※2023年12月末時点

2023年12月時点におけるプライム市場の英文開示実施率は98.2%と非常に高い反面、スタンダード市場とグロース市場においては30%代と伸びしろがある状況です。

また、全市場における英文開示範囲は以下のとおりです。

資料のすべてを英文に翻訳している割合が最も高いのは、IR説明会資料で33.2%でした。有価証券報告書は、統合報告書などのその他の英文資料で記載している場合を含めてもわずか11.5%です。

以上の結果を見ると、IR資料の英文開示は2024年6月時点においてあまり進んでいない状況にあると言えます。

3. 実施しなかった場合の措置

2025年4月までに英文開示が困難な場合は、2025年1月6日~3月14日までの間に、英文開示の実施予定時期を示した書類を東京証券取引所に提出する必要があります。

英文開示に対応しなかった場合は、内容や経緯・原因を考慮したうえで、公表措置等をとられる恐れがあるので注意しましょう。つまり、英文開示に対応していない企業として公表されるということです。

なお、以下のようなケースは日本語の資料と英文を同時に開示できなくても良いとされています。

  • 急遽対応が必要な場合
  • 開示直前まで日本語での開示内容が定まらない場合

適用猶予を受ける上場企業は、2025年3月下旬を目処に、英文開示の実施予定時期を記載した一覧をWeb上で公開する予定です。

IR資料を英文開示することで得られるメリット

次に、英文開示することで得られる利点を4つ紹介します。

  1. 1.海外投資家を呼び込める
  2. 2.株主や投資家からの信頼性が増す
  3. 3.資本コストの改善が期待できる
  4. 4.株主総会での賛成票が得やすくなる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1. 海外投資家を呼び込める

IR資料を英文で開示することの最大のメリットは、言語の壁を超えて海外投資家にアプローチできることが挙げられます。海外投資家にアンケートをとると「投資をする際に英文開示資料は必要」という意見は、全体的に50%を超えています。

とくに、決算短信においては「必須」と「必要」を合わせて80%を超える結果となりました。このことからわかるように英文開示は、海外展開や国際的な認知度向上を目指す企業にとって重要な戦略となり得ます。

IR資料を英文で公開することで、海外投資家の視点や期待に応える情報を提供でき、グローバルな競争力にプラスの影響を与えるでしょう。

2. 株主や投資家からの信頼性が増す

IR資料を英文で開示することは、企業の透明性とコミュニケーション姿勢を世界に示す重要な指標です。日本語版と同等の情報を英語でも同時に提供し、国内外問わず投資家への公平性が守られることで、国際的な信頼性が向上します。

また、日本語の資料と同時に英文で情報を開示する姿勢は、企業のガバナンス体制の強さを示すアピールにもなるでしょう。結果として、企業価値の適正な評価や海外投資家の獲得につながります。

3. 資本コストの改善が期待できる

IR資料の英文開示に対応すれば、企業の資金調達にかかるコストである「資本コスト」の最適化に直結します。

英文化された資料を公開し企業と海外投資家の間にある情報の非対称性が解消されることで、資金調達しやすくなるでしょう。なぜなら、英文でIR資料を開示していないと海外投資家は企業の状況を把握できず、投資できないからです

資料の英文開示に対応せずに海外からの投資を集めたい場合は、高い配当金を支払うなどのオプションを付けざるを得ません。健全に企業を運営するには、配当金などの資金を調達するためにかかる資本コストは抑えるべきです。

資料の英文で開示することで、過剰な資本コストをかけずに資金を調達する効果が期待でき、ひいては安定的な株価形成を実現できるでしょう。

4. 株主総会での賛成票が得やすくなる

資料を英文で開示することで海外投資家の議案に対する理解が深まり、株主総会での賛成票を得やすくなる可能性が高まります。

とくに、取締役選任や役員報酬など重要議案において、海外投資家からの支持を得られることが期待できるでしょう。海外投資家を含めた大多数の株主に企業の情報における透明性を維持しておけば、重要な決定をする際に、議決権の行使によって好意的でない要求をされることも避けられます

IR資料を英文開示することの長期的なメリットは、スムーズな経営判断が実現しやすくなることも挙げられるでしょう。

IR資料を英文開示する際に意識すべきポイント

日本語の資料を英語に翻訳する際に、意識すべきことを5つまとめました。

  1. 1.詳細さのレベルを日本語のIR資料に合わせる
  2. 2.開示タイミングを日本語のIR資料と合わせる
  3. 3.できるだけ多くの資料を英文化する
  4. 4.過去に開示した英文資料との矛盾をしないようにする
  5. 5.Webサイトで英文開示されたIR資料を見つけやすくする

資料の英文化を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

1. 詳細さのレベルを日本語のIR資料に合わせる

英文のIR資料を作成する際は、日本語版と同等の情報量と詳細さを維持することが重要です。単なる要約ではなく、日本語版に含まれる重要な情報を漏れなく英文に反映するようにしましょう。

事実、東京証券取引所が行った海外投資家に対するアンケートでは、約70%が英文開示資料に不満を感じています

海外投資家から寄せられた意見で多かったのは「英文で収集できる情報量が少なく、投資意欲が減退する」という声です。この意見からわかるように、海外投資家から積極的な投資を引き出すには日本語の資料と同レベルの情報を英文資料にも掲載する必要があります。

業界特有の用語や専門的な表現は、適切な英語表現を用いて正確に伝え、グラフや図表も日本語版と同様に掲載し視覚的な情報の一貫性を保つことも大切です。また、必要に応じて海外投資家向けの補足説明を追加し、理解を深める工夫があるとなお良いでしょう。

2. 開示タイミングを日本語のIR資料と合わせる

英文IR資料は、日本語版とほぼ同時に開示することが理想的です。とくに決算短信などの重要情報は、開示タイミングを揃える必要があるでしょう。日本語版と英語版の開示に時間差があると、情報の公平性が損なわれ海外投資家は不利な立場に置かれるからです。

同時開示が難しい場合でも、できるだけ短い時間差での公開を目指しましょう。開示スケジュールを事前に計画し、翻訳作業の時間を適切に確保することが大切です。緊急性の高い開示の場合、要約版を先行して公開するなどの工夫も検討しましょう。

3. できるだけ多くの資料を英文化する

今回義務化された範囲の資料だけでなく、幅広い資料を英文化することも意識すべきポイントです。プレスリリースや適時開示資料も、可能な限り日本語版と同等の情報を英文で提供できると良いでしょう。

海外投資家からは「英語のレポートに重要な情報が全て書かれているわけではない」という声が挙がっています。つまり「日本語で開示した情報はすべて英語でも公開してほしい」というのが海外投資家の本音です。

現実は難しい点も多くあるものの、できる限り網羅的に公開資料を英文化する努力が求められていると言えます。

4. 過去に開示した英文資料との矛盾をしないようにする

過去の英文IR資料と新規の資料間で、情報の一貫性を保つことが重要です。とくに、財務数値や業績予想など、定量的な情報の整合性に注意を払います。

矛盾をチェックするうえで意識すべき点は以下のとおりです。

  • 過去の資料で使用した専門用語や略語は、同じ形で継続して使用しているか
  • 経営戦略や事業方針の説明に矛盾が生じていないか
  • 変更点がある場合はその理由や背景を明確に説明し、投資家の理解を促せているか

過去の資料と新規資料を並べて確認し、情報の連続性を確保しましょう。

5. Webサイトで英文開示されたIR資料を見つけやすくする

企業のWebサイトに英語版IRページを設置したり、新たに英語版のWebサイトを立ち上げたりして海外投資家がかんたんに資料を見つけられるようにすることも重要です。

英文の資料を公開する際は、以下のことを意識すると良いでしょう。

  • 資料の種類ごとに整理し、投資家が必要な情報を容易に見つけられるようにする
  • 検索機能を充実させ、キーワードで資料を検索できるようにする
  • 最新の開示資料を目立つ位置に配置し、新しい情報へのアクセスを容易にする
  • トップページから英語版サイトへのリンクをわかりやすく配置する

このような工夫により、海外投資家が必要な情報に迅速かつ効率的にアクセスできるようになり、企業の透明性と信頼性の向上につながります。

IR資料を英文に翻訳したあとはデザインの調整が必要

資料の内容を英文に翻訳したあとは、デザインを調整する必要があります。ここでは、体裁の整え方について3つのポイントを紹介するので、詳しく見ていきましょう。

  1. 1.フォントの調整
  2. 2.行間・段落の調整
  3. 3.オブジェクトやテキストの再配置

弊社ストリームラインでは、英文スライドのデザイン作成も承っております。英文開示対応をお考えの方は、IR資料作成代行サービス「LEAD」までお気軽にご相談ください。

1. フォントの調整

英文IR資料では、日本語とは異なるフォントを適切に選ぶ必要があります。

英文の場合は、読みやすさを重視し「Arial」「Segoe UI」などのフォントを採用するのが一般的です。また、見出しと本文のフォントやサイズを区別し、情報の階層を視覚的に表現することも大切です。

全体的な統一感を保ちつつ、フォントスタイルを工夫しましょう。

2. 行間・段落の調整

英文は日本語に比べて横幅を取るため、行間や段落を調整することが求められます。以下のようなポイントを意識して行間や段落を調整すると、見た目を整えられるでしょう。

  • 段落間のスペースを取り、文章の区切りを明確にする
  • 箇条書きやリストの間隔を、読みやすさを考慮して調整する
  • 英文は長くなりがちであるため、適切に分割して読みやすくする

このように調整すると、英文資料の読みやすさが大幅に向上し、海外投資家にとって理解しやすい文書を作成できます。見た目の整った読みやすい資料は、投資家の関心を引き付け、企業情報を効果的に伝えられるでしょう。

3. オブジェクトやテキストの再配置

英文IR資料を作成する際は、日本語版とは異なるレイアウトで再構成する必要があります。英文は日本語よりも横幅を取るため、テキストボックスのサイズや位置を調整しましょう。

たとえば、1列だった日本語の文章を英文では2列にしたり、グラフの縦横比率を調整したりすることなどが挙げられます。このときグラフや図表の配置を見直し、英文の説明文との整合性を保つようにしましょう。

重要な情報が目立つよう、欧米の読者の視線の流れを考慮してオブジェクトを配置することも大切です。英語圏の投資家にとって理解しやすく魅力的なレイアウトになるよう調整しましょう。

日本語 → 英語のスライドの調整例

IR資料英文開示の際のデザイン調整

IR資料を英文開示して海外投資家の呼び込みにつなげましょう

IR資料の英文開示は、グローバル市場での企業価値向上の重要な一歩です。英文開示により日本国内と海外の情報格差を埋めることで、海外投資家との信頼関係構築や資本コストの改善が期待できます。

資料を英文化する際は、単なる翻訳にとどまらず、海外投資家の視点に立った情報提供を心がけることが大切です。開示のタイミングや詳細さのレベルを日本語版と合わせ、公平性を担保することでグローバルな投資家層の拡大につなげられるでしょう。

弊社ストリームラインでは、英文スライドのデザイン作成も承っております。英文開示対応をお考えの方は、IR資料作成代行サービス「LEAD」までお気軽にご相談ください。

資料作成代行サービスを提供するストリームラインが、自社のノウハウである資料作成術やパワーポイントの操作テクニックをご紹介します。

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