イベントの企画書とは?構成や書き方のポイント・テンプレートも紹介
イベントの成功は、綿密な計画から始まります。その計画の要となるのが、イベント企画書です。適切に作成された企画書は、アイデアを具体化し関係者の理解を得るための強力なツールとなるでしょう。
本記事では、イベント企画書の基本構成から、作成時のポイント・すぐに使えるテンプレートまで紹介します。イベントアイデアを魅力的な企画書として表現したい方は、ぜひ参考にしてみてください!
目次
イベントの企画書を作成する目的
イベント企画書の構成
1. 表紙
2. 企画背景
3. イベントの目的
4. イベントのターゲット
5. イベントの目標
6. イベント概要
7. 予算/収支
8. スケジュール
イベントの企画書を作る際のポイント
1. イベントを開催する目的を明確にする
2. スケジュールに余裕を持つ
3. 運営体制を企画書に盛り込む
4. 効果測定の手段を決めておく
5. 起こりうるリスクに対する備えをまとめておく
イベント企画書のテンプレート
イベント企画書は何で作成するのが良い?
1~2枚で作成する場合はワード
3枚以上で作成する場合はパワーポイント
わかりやすい企画書を作成してイベントの魅力を伝えましょう!
イベントの企画書を作成する目的
イベントの企画書は、関係者間で認識を共有し、円滑な準備と実行を可能にする重要なツールです。企画書を作成することで、イベントの目的やターゲット・内容・予算などが明確になり、関係者全員が同じビジョンを持てます。
社内イベントの企画書を作成すれば、部署間の協力体制を共有でき、準備から当日の運営まで滞りなく進められるでしょう。
このように、イベントの企画書を丁寧に作ることは、関係者間の認識を統一させることにつながります。企画書は、イベントを成功へ導くための重要な羅針盤の役割を果たすでしょう。
イベント企画書の構成
イベント企画書の構成は、以下の8つのポイントに分けられます。
- 1.表紙
- 2.企画背景
- 3.イベントの目的
- 4.イベントのターゲット
- 5.イベントの目標
- 6.イベント概要
- 7.予算/収支
- 8.スケジュール
それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。
1. 表紙
企画書の表紙には、イベント名や日時・場所を明記し、一目でイベントの概要がわかるようにすることが重要です。
また、作成日と版数を記載しておけば、最新の情報であることを示せます。機密情報の場合は「社外秘」などの表記を忘れずに付けましょう。
2. 企画背景
企画背景には、現在の市場動向や社会情勢などイベント開催の背景となる情報を簡潔に説明します。社内の状況や過去のイベント実績など、企画の立案にいたった経緯を明確に記述しましょう。
具体的な数字やデータを用いると、背景情報の信頼性を高められます。
また、競合他社の動向や業界のトレンドにも触れ、イベントの必要性を強調すると良いでしょう。企画背景は通常1ページ程度にまとめ、読み手の興味を引き出す内容にするのがポイントです。
3. イベントの目的
目的の項目には、イベント開催によって達成したい具体的な目標を明確に記述します。来場者数や商談件数などの定量的な指標と、ブランド認知度向上などの定性的な指標の両面から設定しましょう。
短期的な目的と長期的な目的を区別して記載すると、イベントの位置づけを明確にできます。
目的達成によって得られる具体的なメリットや期待される効果を説明し、会社の経営方針や事業計画との関連性を示しましょう。
4. イベントのターゲット
イベントのターゲットを決める際は、属性を明確に定義し、詳細に記述することが重要です。適切なターゲット設定は、イベントの成功率を大きく左右するため、慎重に行う必要があります。
たとえば「25-35歳の都市部在住のIT企業勤務者、とくに新しい技術に関心が高いミレニアル世代のエンジニア」というように高い解像度で記述しましょう。
ターゲットのニーズや課題を深く分析し、イベントに参加することでどのような問題を解決できるかを示すことで、参加意欲を高められます。
適切にターゲットを設定すれば、イベントの内容や運営方法が最適化され、参加者の満足度を向上できるでしょう。
5. イベントの目標
目標を定める際は、具体的かつ測定可能な数値を設定することが、イベントの成功を判断するうえで不可欠です。
短期的な目標と長期的な目標を区別して設定することで、イベントの即時的な効果と持続的な影響を把握できるでしょう。
たとえば「参加者500名、うち60%が製品デモを体験、商談につながる見込み客を500件獲得」といった具体的な数値目標が有効です。目標達成の基準や評価方法を明確にすることで、客観的な成果測定が実現します。
目標を明確に設定すれば、企画から実施・事後評価まで一貫した方針を持って進められるため、無駄な工数を発生させることなくイベントを遂行できるでしょう。
6. イベント概要
イベントの概要には、日時や場所・規模などの基本情報を明確に記載します。イベントの全体的な流れやプログラムの概要を簡潔に説明することで、関係者がイベントの全体像を把握しやすくなるでしょう。
例
日時:2024年5月15日(水)10:00~15:30 場所:東京国際フォーラム ホールA(東京都千代田区丸の内3-5-1) 規模:参加者500名予定(会場収容人数:1,000名) 参加形式:会場参加およびオンラインライブ配信のハイブリッド形式 |
また、可能であればタイムスケジュールを示せると、イベント当日の流れをイメージしやすくなります。
9:30-10:00 受付開始 10:00-10:30 開会式・主催者挨拶 10:30-12:00 基調講演 12:00-13:00 ランチタイム・ネットワーキング 13:00-15:00 パネルディスカッション 15:00-15:30 閉会式 |
このように、イベントの概要を具体的に企画書に盛り込むことで、関係者間で情報を共有しやすくなり、準備や当日の運営がスムーズになるでしょう。
7. 予算/収支
イベントの予算計画を明確に示すことは、企画書の重要な項目です。適切な予算管理はイベントの成功に直結するため、収入と支出の両面から詳細な計画を立てる必要があります。
たとえば「会場費:50万円・講演者謝礼:30万円・広告宣伝費:20万円」というように、各項目の予算を具体的に記載することで、全体像が把握しやすくなります。予想される収入(参加費、協賛金など)と支出のバランスを示し、イベントの収益性や資金調達の必要性を明確にしましょう。
企画書を作成する段階で予算計画を綿密に立てておけば、関係者の理解と協力を得やすくなります。
8. スケジュール
企画書には、イベント準備から当日の運営・事後処理までの全体的なタイムラインを示すことが重要です。明確なスケジュールは、関係者全員の認識を合わせ、準備の進捗管理を容易にするため、必須の要素と言えるでしょう。
具体的には「6ヶ月前:会場予約・3ヶ月前:講演者確定・2ヶ月前:参加者募集開始」といった具体的なマイルストーンを設定するのがおすすめです。スケジュールには余裕を持たせ、想定外の事態にも対応できるようにすることで、イベントの準備をスムーズに進められます。
イベントの企画書を作る際のポイント
次に、イベントの企画書を作る際のポイントについて解説します。
- 1.イベントを開催する目的を明確にする
- 2.スケジュールに余裕を持つ
- 3.運営体制を企画書に盛り込む
- 4.効果測定の手段を決めておく
- 5.起こりうるリスクに対する備えをまとめておく
重要な項目についてまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。
1. イベントを開催する目的を明確にする
イベント開催の目的を明確に定義することは、企画書作成の最重要ポイントです。明確な目的設定により、イベントの方向性が定まり、具体的な施策の立案が容易になります。
「新製品の認知度を30%向上させる」や「顧客満足度を10ポイント上昇させる」など、具体的かつ測定可能な目標を設定しましょう。目的に基づいてイベントの成否を判断できるため、PDCAサイクルを回しやすくなります。
目的を明確に設定することで、関係者間の方向性を統一できるため、イベントの成功確率を高められるでしょう。
2. スケジュールに余裕を持つ
イベントを準備するスケジュールには、十分な余裕を持たせることが重要です。予期せぬトラブルや変更に対応するため、柔軟性のあるスケジュール設計が必要不可欠です。
たとえば、通常4週間かかるタスクには5週間を割り当てるなど、20%程度の余裕を持たせると良いでしょう。とくに重要なマイルストーンには、さらに多くの時間を割り当てておくと安心です。
余裕を持ってスケジュールを立てれば、イベント当日を準備不足の状態で迎えることを避けられます。
3. 運営体制を企画書に盛り込む
イベントの運営体制を企画書に明記することは、円滑な準備と実施のために極めて重要です。役割分担を明確にすることで、責任の所在が明らかになり、効率的に準備を進められます。
「全体統括:A氏、会場手配:B氏、広報担当:C氏」のように、具体的な担当者と役割を記載しましょう。外部協力者や協賛企業がある場合は、その関与の範囲や役割も明記します。
企画書の段階で運営体制をすり合わせておけば、関係者全員の協力体制が明確になるため、スムーズにイベントを運営できます。
4. 効果測定の手段を決めておく
イベントの成果を測定する具体的な方法を事前に決定し、企画書に記載することが重要です。明確な効果測定基準を設定することで、イベントの目的達成度を客観的に評価できるようになります。
たとえば「参加者アンケートでの満足度80%以上」「SNSでのイベント関連投稿1,000件以上」といった具体的な指標を設定しましょう。定量的指標と定性的指標の両方を設定し、多角的に評価できます。
効果測定の方法を明確にすることで、次にイベントを開催する際に改善すべきポイントがわかるでしょう。
5. 起こりうるリスクに対する備えをまとめておく
想定されるリスクとその対策を企画書に記載することは、イベントの安全性と信頼性を高めるうえで不可欠です。事前にリスク対策を検討することで、緊急時の対応が迅速かつ適切になり、被害を最小限に抑えられます。
具体的には「天候不良時の代替会場確保」「講演者の急病時の代替案」「システムトラブル時の手動対応手順」など、起こりうるリスクと対策を記載しましょう。
各リスクの発生確率と影響度を評価し、優先順位をつけて対策を立てることが効果的です。
リスク対策の方針を企画書に明示しておくことで、関係者の安心感が高まり、イベントの円滑な運営と成功確率の向上につながるでしょう。
イベント企画書のテンプレート
ここでは、イベントの企画書を作る際のテンプレートを紹介します。以下のテンプレートに沿って内容を考えれば、企画書に盛り込むべきことをひととおり洗い出せるでしょう。
表紙 イベント名:__________________ 開催日時:__________________ 開催場所:__________________ 企画者:__________________ 2. 企画背景 3. イベントの目的 4. イベントのターゲット 主要ターゲット:__________________ ターゲットの特徴:__________________ 5. イベントの目標 短期目標:__________________ 長期目標:__________________ 6. イベント概要 参加予定人数:__________________ 主な内容: 7. 予算/収支計画 総予算:__________________ 主な支出項目: __________________:__________円 __________________:__________円 __________________:__________円 予想収入:__________________ 8. スケジュール ○ヶ月前:__________________ ○週間前:__________________ 当日:__________________ 事後:__________________ 9. 運営体制 全体責任者:__________________ 役割分担: 10. 効果測定方法 指標1:__________________ 指標2:__________________ 11. リスク対策 リスク1:__________________ 対策:__________________ リスク2:__________________ 対策:__________________ |
活用例は、以下のとおりです。
1. 表紙 イベント名:生成AIの使い方を学ぶ!社内活用の極意とは 開催日時:2024年9月15日(日)13:00-17:00 開催場所:テックイノベーションセンター 大会議室 企画者:山田太郎(デジタル戦略部) 2. 企画背景 生成AI技術の急速な発展に伴い、企業での活用が課題となっている。社内でのAI活用スキル向上が急務。 3. イベントの目的 社員のAIリテラシー向上と、具体的な業務での活用方法の習得を目指す。 4. イベントのターゲット 主要ターゲット:全部門の中間管理職(課長クラス) ターゲットの特徴:日常業務の効率化に関心が高く、部下の育成に責任を持つ立場 5. イベントの目標 短期目標:参加者の80%が自部署でのAI活用プランを立案 長期目標:6ヶ月以内に全部署で1つ以上のAI活用事例を創出 6. イベント概要 参加予定人数:100名 主な内容: 基調講演:AI専門家による最新トレンド解説 事例紹介:先進企業のAI活用成功事例 ワークショップ:自部署でのAI活用プラン作成 7. 予算/収支計画 総予算:80万円 主な支出項目: 講師謝礼:30万円 会場費:20万円 資料作成・印刷費:15万円 予備費:15万円 予想収入:なし(社内向け無料セミナー) 8. スケジュール 2ヶ月前:講師依頼、会場予約 1ヶ月前:参加者募集開始、資料作成 当日:セミナー実施、アンケート収集 事後:アンケート分析、フォローアップ研修企画 9. 運営体制 全体責任者:山田太郎(デジタル戦略部長) 役割分担: 講師・登壇者調整:鈴木花子(人材開発課) 会場・設備:佐藤次郎(総務部) 10. 効果測定方法 指標1:参加者アンケートでの満足度(目標:80%以上) 指標2:AI活用プラン提出率(目標:参加者の90%以上) 11. リスク対策 リスク1:参加者数が目標に達しない 対策:各部署長への直接的な参加呼びかけ、社内広報の強化 リスク2:技術的トラブル(オンライン中継等) 対策:IT部門のスタッフを待機させ、即時対応できる体制を整える |
ぜひ活用してみてください。
イベント企画書は何で作成するのが良い?
イベントの企画書は、ワードやパワーポイントで作成されることがほとんどです。ここでは、ワードとパワーポイントの使い分けについて解説します。
1~2枚で作成する場合はワード
イベントの内容が比較的シンプルで1~2枚の企画書で収まる場合は、ワード形式がおすすめです。企画を簡潔に伝えるために企画の全貌を1枚にまとめた資料を「ワンシート企画書」といいます。ワンシート企画書には、1~2枚に収まるように情報を取捨選択し、重要なポイントのみを記述します。
ワードだからといって、文章をだらだらと書きつづることなく、箇条書きなどで簡潔にわかりやすく記述することを心がけましょう。
【関連記事】 企画書をワードで作成しよう!メリットや構成案、作り方をわかりやすく解説
3枚以上で作成する場合はパワーポイント
3枚以上になる場合は、パワーポイントで作成するのがおすすめです。枚数を増やせる分、重要な部分を詳細に説明できます。
また、パワーポイントは画像やイラスト・グラフや図形の挿入の機能が充実しているので、このような機能を活用し、視覚的にもわかりやすい企画書を作りましょう。
わかりやすい企画書を作成してイベントの魅力を伝えましょう!
効果的なイベント企画書は、アイデアを現実のものとする重要なツールです。明確な目的やターゲット・予算・スケジュールを盛り込むことで、関係者の理解と協力を得やすくなります。
また、リスク対策を含めることで、予期せぬ事態にも柔軟に対応できる体制を整えられるでしょう。
魅力的な企画書作成により、イベントの価値が高まり、参加者の期待感も向上します。今すぐイベント企画書のテンプレートを活用し、あなたのアイデアを魅力的な形で表現しましょう。