初見に優しい構成とシンプルなデザイン!ツクルバの決算説明会資料を解説
cowcamoを中心とした住宅プラットフォーム事業を展開する株式会社ツクルバの第2四半期決算説明会資料を取り上げ、デザインや構成の観点から参考になるポイントを解説します。
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出典:株式会社ツクルバ 2021年7月期第2四半期決算説明会資料
【事例解説】ツクルバのIR資料に学ぶ洗練されたデザインの秘訣
まずは以下の要素について、デザインの特徴を解説します。
表紙・テンプレートのデザイン

表紙は白背景でタイトルのみです。本編も含め無装飾でシンプルですが、必要な情報が伝わりやすいです。

表紙や本編が白背景でシンプルなため、濃い色が使われた中扉に一層インパクトを感じることができます。なお紺色と赤系統の配色は、2020年11月に刷新したコーポレートロゴがモチーフだそうです。
配色:コーポレートカラーを活かした最小限の配色ルール

本編のコンテンツでは、紺色、青色、水色の3色程度が使用されています。色数を抑え、ビジネスライクで洗練された印象です。




アクセントカラーが紺色のページと水色のページが混在しています。また、紺色が使われていないページもあるため、ややメインカラーとサブカラーの位置づけが不明瞭です。紺色の使用比率を上げてメインカラーとサブカラーの位置づけを明確にすると、情報の優劣や強調箇所がより伝わりやすくなるでしょう。
フォント:情報の優先順位を明確にする「ジャンプ率」と「可視性」の最適化

ジャンプ率が大きい点は、読みやすさのポイントです。ただし、リード文や図中のフォントサイズが小さい箇所もあり、可読性が損なわれるおそれがあります。
グラフ:情報のノイズを削ぎ落とした視認性の高いグラフ表現

グラフは目盛り線がなくスッキリとしています。そのため、「前期末比+59%」などテキストのメッセージが読み取りやすいです。
表:マトリクスを用いた「比較」と「分類」の視覚化


セグメント別業績(P13)と四半期別業績推移(P14)の表のデザインが異なります。
表やグラフが連続するページでは、それらのデザインが異なると資料全体の統一感が損なわれます。
特別な意図がない場合は、デザインを揃えることを意識しましょう。


P10やP36では、表中の強調箇所に背景色が加えられ、ひと目で重要箇所が分かるようになっています。細かい点ですが、P36でもP10と同様に強調箇所以外の数字の色は黒に統一すると、さらに見やすくなります。
投資家の理解を深める「ツクルバ流」決算資料の構成4つのポイント
次に、構成のポイントを4つ紹介します。
①初見の人でも一読して内容を理解できる
②データの組み合わせで業績の理解を深めやすい
③成長の方向性や指針が明示されている
④投資家の疑問に先回りして答えを用意している
①初見の投資家を迷わせないストーリー設計(事業概要の提示)



ミッション・ビジョン及び事業内容のスライドが資料冒頭に置かれています。初見の人も、事業の概要を理解した上で資料を読み進むことができます。
また、各ページのリード文が端的にまとめられており、リード文のみ読めば各ページのメッセージを理解することができます。

業績報告の章ではP8「カウカモ事業における財務KPIと事業KPIの構造」を冒頭に設けているため、その後に示される業績を理解しやすくなっています。また、P8で提示したものと同じ内容のスライドをP19で再提示しているため、読み手はKPIの構造を再確認し記憶にとどめやすくなります。

P17では「カウカモ事業の構造」を既存の流通構造と対比して整理しており、業界への知識が浅い読み手に対する配慮が感じられます。

さらに「カウカモ事業の成長サイクル」が後続しており、事業理解を深めるとともに今後の事業発展への期待を高める効果もあります。
②KPIと財務データの相関図による成長ロジックの可視化

業績に影響を与える要素は、構成要素も含めて詳細に示しています。
P21のグラフでは業績に影響を与えるプラットフォーム(PF)件数だけでなく、PF件数の構成要素である会員数(会員MAU)を組合せています。1つの指標では読み取りにくい成長の流れが構成要素を組み合わせることでしっかりとしめされています。今後の業績に対する読み手の期待感も高まるでしょう。

また、P22では各販管費と売上総利益を組み合わせてグラフ化しており、連動した読み取りが可能になっています。
③中長期ビジョンと市場成長性を紐付けたロードマップの提示

P16「ツクルバの成長の方向性」の面グラフでは、全体的な成長路線を示すだけではなく、事業ごとに色分けをすることで各事業をどの程度伸ばす方針であるかを視覚的に伝えています。

P27では今後の注力ポイントとしてプラットフォームの競争力構築に言及しています。事業環境とそこから導かれる方針の関連性が線で示されているため読み取りやすいです。
④想定Q&Aと補足資料による情報の透明性と信頼性の向上

資料の後半にQ&Aのスライドを用意しているのも特徴的です。投資家が疑問に持つであろう点を先回りして提示する姿勢は好印象です。
よくある質問
Q: 株式会社ツクルバの決算説明会資料におけるデザインの主な特徴は何ですか?
A: 最大の特徴は「情報の読み取りやすさを追求したシンプルさ」です。白背景を基調とした装飾のないテンプレートを使用し、色数を紺・青・水色の3色程度に抑えることで、洗練されたビジネスライクな印象を与えています。また、グラフの目盛り線を排除してメッセージを際立たせたり、表の重要箇所に背景色を付けて視線を誘導したりする工夫が施されています。
Q: 初めて資料を見る人(初見の読者)に対して、どのような構成上の配慮がなされていますか?
A: 資料の冒頭にミッション・ビジョンおよび事業内容のスライドを配置し、事業概要を把握した上で読み進められる構成になっています。また、各ページには要点を簡潔にまとめた「リード文」があり、そこを追うだけで全体のメッセージが理解できるよう設計されています。さらに、既存の流通構造と対比させた事業構造の図解など、業界知識が浅い読み手への配慮も含まれています。
Q: 業績の理解を深めるために、どのようなデータの見せ方を採用していますか?
A: 単一の指標だけでなく、複数のデータを組み合わせることで成長の背景を可視化しています。例えば、プラットフォームの件数(財務KPI)に、その構成要素である会員数(事業KPI)を組み合わせて表示することで、成長の質を詳細に示しています。また、各販管費と売上総利益を連動させたグラフを用いるなど、数値の関係性が直感的に伝わる工夫がされています。
Q: 投資家とのコミュニケーションを円滑にするためのユニークな工夫はありますか?
A: 資料の後半に「Q&Aスライド」をあらかじめ用意している点が特徴的です。投資家が抱く可能性のある疑問を先回りして提示し、回答を記載しておくことで、情報開示に対する誠実な姿勢を示しつつ、読者の疑問を即座に解消する仕組みを取り入れています。
まとめ:戦略的構成で投資家の「納得感」を醸成する
今回は、株式会社ツクルバの第2四半期決算説明会資料を例に、わかりやすい決算説明会資料を作る上でのポイントを解説しました。
デザインは、テンプレートがとてもシンプルで、グラフや表も無駄な装飾が無く情報を読み取りやすい設計です。ただし、色の持つ役割が曖昧な箇所もあるため、ルールを定めて全ページに適用することができれば、情報の優劣や強調箇所がより一層伝わりやすくなるでしょう。
構成は、図解やグラフを用いて情報が整理され、リード文が端的にまとめられています。初見の人でも理解しやすいページネーションや、読み手の疑問を先回りしたQ&Aページなどは、ぜひ参考にしたいポイントです。

















