成果を出す営業資料の作り方|ニーズを把握し理解を促す資料プロセスで考える

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成果を出す営業資料の作り方【作成編①】

本記事では、「営業資料の作成は何から始めるべきなのか?」という議題に改めて触れながら、お客様からのご期待をいただける営業資料とはどのようなものかを考察し、実際の作成にあたって押さえておくべきポイントを解説します。

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ポイント①:読み手のニーズを把握する

まず営業資料の作成にあたって重要なのは、「読み手と一体化する」ということです。

例えば、あなたは20代の若手営業担当で、商談相手は50代の総務部長とします。
小さな文字が読みにくく、あなたとの商談以外にも30分から60分刻みで様々な打合せが入っている、たくさんのミッションを抱える部長にならなければならないのです。
このような状況を想像しながら、部長のニーズに沿った資料構成を作成していく必要があります。

読み手のニーズを把握する際、考えるべき項目とはどんなものがあるでしょうか。下記で例を紹介いたしますので一つひとつ見ていきましょう。

1. 年齢

50代。老眼が始まっている年代の為、小さい文字は読みづらい可能性がある
さらに、視界がやや黄色っぽく見え始めている人もいるため黄色は認識しづらく、濃い青や緑はやや黒っぽく見えることがある。

2. 立場・役職

部長という立場であるため、自分だけではなく部署または会社としてメリットがある提案しか受け入れたくない。
総務部長という役職上、様々な業務を管轄しているため、今回の商談以外にも時間を割くべき対象はたくさんあり、あまり時間をかけたくない。

3. 性格・価値観

結論ファーストな風土の会社であるため、長々しい説明は聞きたくない

4. 知識レベル

基本的なビジネス用語は問題ないが、システムやWebに関する専門用語はいきなり使ってほしくない

5. 関心・意見の一致レベル

一度話を聞いてみよう、という程度の関心はあるものの、細かい話には現時点で興味はなく、具体的な検討に持ち込もうとしないでほしい

6. 資料を読む目的

総務部における長時間労働の是正がミッションであり、関連する内容や他社の取組みについて情報収集しておきたい

皆様はご自身のクライアントに対してどこまで想像できたでしょうか?
これらがわからない状態でアポイントに臨まなければならないシーンも多々あるかと思いますが、事前に想定できるのであればこれらのニーズを想定しておきましょう。

読み手のニーズのまとめ

1年齢50代。小さい文字は読みづらい
2立場・役職総務部長。メリットがある提案だけがほしい
今回の商談に割く時間があまり無い
3性格・価値観結論を先に述べてほしい
長々しい話は聞きたくない
4知識レベルシステム関連の専門用語を使ってほしくない
5関心・意見の一致レベル具体的な検討はまだできない
6資料を読む目的今回のミッションについて情報収集をしたい

説明は丁寧に書かれていても、長々しく文字が小さく見えづらい色の多い資料は、今回のクライアントのニーズには沿っていない資料となります。

このニーズ想定のステップを商談に例えるなら、

「身だしなみを整えて、清潔感のない服装をしない」
「きちんと挨拶をし、不快になる言葉遣いはしない」

といった段階の内容に当てはまるでしょう。
クライアントが「資料を読んでもいいかな」と思う最低限のマナーと捉えて、必ず実践してみてください。

また、複数人で作成した営業資料を統合した場合、これらのニーズ想定がバラバラになってしまっていることもあります。
チームで営業資料を作成する際には、必ずこれらの前提条件に対する認識をメンバー間ですり合わせておきましょう。

ポイント②:想定すべき質問と条件

商談に臨む前に下記の5つの質問に自信をもって答えられるようにしておきましょう。

1あなたたちは誰なのか?
2なぜ話を聞く必要があるのか?
3あなたたちは何を提供できるのか?
4あなたたちを選ぶ理由は何なのか?
5サービスの提供を受けるには何をすればいいのか?

「これらの説明に戸惑ってしまう」「はっきりとした答えが出てこない」という方は、一度自社の強みやサービスの魅力を見直し、お客様に何を提供できるのか?を考えてみてください。
おすすめは事前にロールプレイングを重ねて、どのような形の質問でもできる限り答えられる状態にしておくことです。

それでは構成を考えるにあたって、商談の制約条件を明確にしていきます。

「プレゼン時間を1時間与えるから、しっかり説明して」なのか、「15分で口頭で簡単に話して」なのか
「ミーティングルームに関係者を集めるから、投影して」なのか「読んでおくから紙で渡して」
なのか。

どんな環境で商談がされ、営業資料はどんな形式で展開されるのかを明らかにしておきましょう。

想定しておくべき項目は以下のようになります。
※下記は一例です。

1. 使用者

・営業担当がクライアント担当者に説明する。
・クライアント担当者がグループマネージャーに説明する。

2. 用途

・初回アポイントでサービスに興味を惹くために印刷して提示
・初回アポイント後、グループ会議の場でモニタに投影しながら提示

3. 使用環境

・クライアント社内の5~6名用ミーティングルーム
・クライアント社内でメールで展開される

4. 説明時間

・初回アポイントで60分時間をいただいているが、15~20分程度で説明するのが望ましい

これらの条件から、下記のようなことがわかります。

■ 印刷もモニタ投影もデータによる閲覧もありうる
・投影は大きな部屋では行わないため、見出し以外の文字は小さめ(9pt~11pt)でもよい
・読みづらくならない程度の情報量を盛り込むことができる
■ クライアント担当者やそのグループメンバー、グループマネージャーが見る
・説明が長くなりすぎない方がいいため、ページ数は10~15ページ程度に収めたい
・厳しい突っ込みが想定されるため、カウンターとなる文章を入れておくべき

このような制約条件を踏まえ、商談の場にそぐわない構成になることを避けましょう。

ポイント③:読み手の理解を促すページネーション

次に、構成のページネーションを検討していきます。
ページネーションとは、台割やページ割とも呼ばれるどのページに何を書くかを振り分けたもののことです。

例えばこのようなイメージです。

ページネーション

手書きでも十分ですが、パワーポイントの「アウトライン表示」機能を活用すればプレゼン時にも活用できます。

アウトライン表示についてはこちらの記事をご参照ください
プレゼンの成功の第一歩|アウトラインの作り方と活用術をご紹介

この際、下記を意識して情報を並べていきます。

「大きな範囲に関わる情報」 ▶ 「小さな範囲に関わる情報」

講義やセミナー、商談、個人同士のコミュニケーションなどにおいても、いきなり細かい話をされるより、まずは全貌について理解したほうがわかりやすいですよね。
「まず全体像を把握してから、全体の中の要素に注目する」という手順を踏むことで、格段に情報を理解しやすくなります。

「大きな情報→小さな情報」の構造を文章表現で例えると、

①昨年は雨続きで日照時間が少なく、農作物の出荷数に与える影響は大きかった。
②特に6月~8月の3か月間においては降水確率が60%を越える日が約6割を占めた。

①は昨年全体に関わる情報で、②は6~8月に関わる情報のため、①→②の順に並べた方がわかりやすい文章となります。

その他にも、

「会社プロフィール」▶「経営理念」の順
「サービス概要」▶「サービスの特長」の順

など、読み手が理解しやすいページネーションを検討しましょう。

ページネーションが出来上がったら、ポイント②の「想定すべき質問」を当てはめていきます。
下記の表・図を確認してください。

 想定すべき質問ページネーション
1あなたたちは誰なのか?会社概要
2なぜ話を聞く必要があるのか?クライアントの抱える課題・
課題を取り巻く環境
3あなたたちは何を提供できるのか?サービスの概要
4あなたたちを選ぶ理由は何なのか?サービスの特長・事例(実績)
5サービスの提供を受けるには何をすればいいのか?料金・ご利用の流れ・問合せ先
想定される質問とページネーション

ポイント④:読み手の理解や態度変容のプロセスを想定する

ここで検討したページネーションはあくまで仮のページネーションとなります。
まずはこの仮のページネーションの状態のまま、ページの中身の検討に入っていきましょう。

中身を作る段階で最適なページネーションが改めて見えてきます。
その中身を検討する上で大切なことは、読み手の理解や態度変容のプロセスを想定することです。

想定される質問とページネーションの流れ

ここで、読み手の理解や態度変容のプロセスはどのようになるでしょうか?

・会社概要

読み手の考える例

①A事業だけではなくB事業もやっているのか……そちらでも相談できそうだな
②こういう特許取っている会社なのか……独自性のあるサービスを提供しているな
③社員数こんなにいるのか……かなり成長している会社なんだな
④競合のA社とも取引がある会社なのか……業界について精通しているようだ

→ あなたの会社に対する理解や期待を醸成

・クライアントの抱える課題

読み手の考える例

①自社の課題を理解してもらっている
②目を背けていたけどこういうことは起きていそうだな
③この会社はこの分野の課題解決を得意としているようだ

→ 課題の共感を促し、課題を再認識させる

・課題を取り巻く環境

読み手の考える例

①外部環境の変化に対応しなければならない
②定量データが示す通り、深刻な課題のようだ

→ 課題への危機感を醸成し、解決への意欲を高める

・サービスの概要

読み手の考える例

①こういうサービスをやっているのか
②これなら自社の課題を解決できるかもしれない

→ サービスの概要を理解させ、興味を喚起する

・サービスの特長

読み手の考える例

①他社にはない特長をもっているようだ
②自社にとって導入メリットがあるようだ

→ メリットを具体的に想起させ、導入への意欲を喚起する

・導入事例(実績)

読み手の考える例

①成果を出しているサービスのようだ
②自社もこのような恩恵を受けたい
③自社と同じ業種の企業も導入しており、遅れをとっている

→ 成果に対する信頼を醸成し、具体的な行動を喚起

・料金

読み手の考える例

①この予算なら十分な費用対効果が得られそうだ
②予算を確保し、●月の会議で提案しなければ間に合わない
③上司を説得しなければならなそうだ

→ ネクストアクションとボトルネックを想定させる
または
→ 導入のハードルを低く感じさせる

・ご利用の流れ・お問合せ

読み手の考える例

①導入にあたって準備が必要そうだ
②こちらの手間がかからないため、すぐにでも導入できそうだ
③協力メンバーに報告する必要がありそうだ

→ネクストアクションとボトルネックを想定させる
または
→導入のハードルを低く感じさせる

このような考えが想定されます。
読み手の理解や態度変容は、こちらが与える情報と与える順番から形成することができます。
読み手に想起してほしい考えを導くように、情報を配置していけばよいのです。

逆に、配置をうまく行ったとしても、「内容がぼんやりしている」など、不十分な情報量・情報の粒度では読み手の態度変容には至らない可能性が高いため、書くべき内容がクライアントの心を動かすか?ということは必ず確認しましょう。

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