IRとは?意味や目的・業務内容についてわかりやすく解説
IRは、企業が投資家に向けて経営や財務情報を提供し、透明性を高めるための重要な活動です。投資家との信頼関係を構築し、企業価値の向上につながります。
本記事では、IR資料の制作に携わっている弊社ストリームラインが、IRの基本的な概要や活動内容・目的やメリットについて詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。
目次
IRとは|概要を解説
1. IRとは投資家に向けて経営・財務情報を提供する活動
2. IR活動の対象
3. PR/SRとの違い
IRの目的・メリット
1. 投資家とコミュニケーションを取れる
2. 企業価値の向上につながる
3. 情報の開示義務に対応する
4. インサイダー取引を防止する
IR活動のデメリット
IR活動の取り組み
1. 説明会を実施する
2. IR情報をコーポレートサイトに掲載する
3. 関連施設の見学会を実施する
IR部門が担当する業務一覧
IR部門における年間スケジュール例
IR活動の効果を高めるポイント
1. 投資家が求めている情報を丁寧に開示する
2. 経営のトップ層が積極的にIRに関わる
3. 投資家から得たフィードバックを経営に反映させる
IR活動に正しく取り組んで企業価値を高めよう
IRとは|概要を解説
ここでは、IRの概要について詳しく紹介します。
- 1. IRとは投資家に向けて経営・財務情報を提供する活動
- 2. IR活動の対象
- 3. PR/SRとの違い
なお、弊社ストリームラインでは、資料制作のご依頼を承っています。IR資料の作成についてお困りの方は資料作成のワンストップ代行サービス「LEAD」までお気軽にご相談ください。
1. IRとは投資家に向けて経営・財務情報を提供する活動
IR(Investor Relations)は、企業が株主や投資家に対して、経営状況や財務情報や業績・将来の見通しなどを広報する活動です。この活動の主な目的は、投資判断に必要な情報を適切に提供し、投資家との良好な関係を構築することにあります。
2021年に企業を対象に実施されたアンケートでは、1,032社中977社(94.7%)がIR活動を実施していることが判明しています。
このことから、IR活動は多くの企業にとって必須の経営戦略として認知されていることがわかるでしょう。
IR活動に真摯に取り組むことは、企業の透明性を高めるだけでなく、投資家との関係性を向上することにつながります。ひいては、投資家からの出資を受けやすくなる効果が期待できます。
IR活動には、資料を作成する業務が数多くあります。IR資料について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
▶ IR資料とは?IR資料の役割や企業の全貌が分かる資料の見方について解説
2. IR活動の対象
IR活動の主な対象は、機関投資家や個人投資家・証券アナリストです。従来は機関投資家が中心でしたが、近年は個人投資家の重要性も徐々に増しています。
機関投資家は大口の資金を運用するため、企業にとって重要な存在です。個人投資家と比較すると専門的な知識を持ち、詳細な財務分析や長期的な成長戦略に関心を持ちます。
また、NISAやiDeCoなどの制度やインターネットの普及により、個人投資家も増加傾向にあります。個人投資家には、財務情報をわかりやすく提供したり、SNSを活用した情報発信に取り組んだりして、企業の信頼性をアピールするのが効果的です。
証券アナリストは、企業の財務状況や将来性を専門的に分析し、投資家に情報を提供します。つまり、証券アナリストの評価は多くの投資家の判断に影響を与えるため、IR活動の重要な対象です。
このように、多様な投資家層に対応し、それぞれのニーズに合わせた情報発信を行うことが求められるでしょう。
3. PR/SRとの違い
IRとよく似た概念として、PRとSRが挙げられます。PR・SRの違いを以下の表にまとめました。
項目 | IR (Investor Relations) | PR (Public Relations) | SR (Shareholder Relations) |
---|---|---|---|
対象 | 投資家、株主、アナリスト | 一般公衆、地域社会、 メディア | 株主 |
目的 | 投資判断に必要な情報を提供し、 株主との良好な関係を築く | 企業のイメージや ブランド価値を向上させる | 株主との関係を強化し、 議案説明や資金調達につなげる |
主な活動 | 決算短信・有価証券報告書の 発表、投資家向け説明会 | プレスリリース作成、 メディア対応、SNS発信 | 株主総会での議案説明、 株主優待 |
重視する点 | 公平性、適時性、継続性 | 企業の社会的評価、 ブランドイメージ | 株主との対話 |
PRは、一般社会向けのブランド認知度向上が目的であるのに対し、IRは投資家向けの財務・経営情報の提供が中心です。SRは、株主に焦点を当てた活動で、株主総会対応などが主な業務です。
それぞれの活動は対象や目的に差があるため、情報の内容や発信方法も異なります。
IRの目的・メリット
IRの目的とメリットについて押さえることは、効果的なIR活動を行ううえで重要です。ここでは重要なポイントを4つ紹介します。
- 1. 投資家とコミュニケーションを取れる
- 2. 企業価値の向上につながる
- 3. 情報の開示義務に対応する
- 4. インサイダー取引を防止する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 投資家とコミュニケーションを取れる
IR活動は、企業と投資家間の重要なコミュニケーション手段です。主な目的は、投資家に経営状況や財務情報を正確に伝え、企業に対する理解を深めてもらうことです。
このプロセスを通じて、企業は投資家からの貴重なフィードバックを得られます。投資家から得られたフィードバックは、経営改善や戦略立案に活用できるでしょう。
継続的にコミュニケーションをとることで、投資家との信頼関係を構築することにつながります。
どのような情報を投資家に共有するのかについては、以下の記事を参考にしてみてください。
▶ 【実例付き】投資家を惹きつける主なIR情報の内容8選
2. 企業価値の向上につながる
IR情報を開示することは、企業に対する信頼を醸成し企業価値を高める要因のひとつです。
積極的なIR活動は、企業の良好なガバナンス体制を示す証拠として市場から評価されます。このような要素が相まって、潜在的な投資家の関心を引き付け、新たな投資を呼び込む効果が期待できるでしょう。
IR活動は、単なる情報開示にとどまらず、企業の透明性向上や投資家層の拡大・資金調達の円滑化をもたらす重要な経営戦略のひとつです。
3. 情報の開示義務に対応する
IR活動を通じて、企業は法令で定められた情報開示義務を適切に対応できます。タイムリーかつ正確な情報開示は、投資家からの信頼獲得に大きく貢献するでしょう。
なお、プライム市場において2025年4月1以降に公表するIR資料を英文で開示することが義務化されました。IR資料の英文開示について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
▶ IR資料の英文開示は義務!英語に翻訳するメリットやデザイン調整のコツを紹介
4. インサイダー取引を防止する
IR活動に取り組むことで、インサイダー取引の防止につながります。インサイダー取引とは、企業の内部者が未公表の重要情報を利用して株式取引を行う違法行為のことです。
IR情報を通して公平かつ迅速に情報を開示することで、情報を公平に拡散できるため、インサイダー情報の発生自体を抑えられます。
IR情報を適時開示することで、透明性の高い市場運営が実現し、不正取引のリスクを大幅に低減します。また、公平な情報開示の姿勢は、企業の倫理観と誠実性を市場に示す機会となるでしょう。
IR活動のデメリット
IR活動には、メリットだけでなく注意すべき側面もあります。主なデメリットとして、以下の点が挙げられます。
情報管理の難しさ | 情報を公開するタイミングや方法を誤ると、意図せず機密情報が漏洩する恐れ |
法的リスク | 不適切な情報開示は、証券取引法違反などの法的問題につながる。 特に未公開情報の取り扱いには十分な注意が必要 |
リソースの消費 | 効果的なIR活動には、人材・時間・資金などの相当なリソースが必要 |
IRに長けた人材を育てつつ十分なリソースを確保することで、デメリットを最小限に抑えつつ、IR活動の効果を最大化させましょう。
IR活動の取り組み
ここでは、IR活動の具体的な取り組みについて詳しく紹介します。
- 1. 説明会を実施する
- 2. IR情報をコーポレートサイトに掲載する
- 3. 関連施設の見学会を実施する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 説明会を実施する
IR活動の主な取り組みとして、決算説明会や事業説明会を開催し、最新の業績情報や経営方針を伝えることが挙げられます。
説明会を円滑に進行させるには、入念な準備が必要です。
- 日程・会場決定
- 内容整理
- プレゼンター選定など
説明会は投資家との直接対話の機会であり、信頼関係の構築に重要な役割を果たします。
決算説明会については、こちらの記事を参考にしてみてください。
▶ 決算説明会とは|決算発表との違いやスケジュール・資料の作り方を紹介
2. IR情報をコーポレートサイトに掲載する
多くの投資家がIR情報収集にIRサイトを活用するため、Webサイト運営は必須です。IRサイトを通じて「投資先として選ばれる」ための情報発信を行います。適時開示を正しく行い、投資家に必要な情報を提供しましょう。
オンラインで情報を公開することで、幅広い投資家層への情報提供を可能にします。そのため、常に最新の情報を提供し、サイトの使いやすさにも配慮することが重要です。
3. 関連施設の見学会を実施する
関連施設の見学会は、投資家や株主に企業の実態を直接体感してもらう重要なIR活動です。工場や研究施設などを案内することで、事業内容や業務プロセスへの理解を深めてもらえます。
また、製造過程や最新技術の展示・経営陣との対話の機会を設けることで、企業の強みや競争力を効果的に伝えられるでしょう。
これにより、投資家の理解と信頼が深まり、企業の透明性が向上します。見学会を通じて、長期的な株主獲得につながる可能性が高まります。ただし、参加者の安全確保や機密情報の管理に注意が必要です。
IR部門が担当する業務一覧
IR部門が担当する業務は多岐にわたります。一覧は以下のとおりです。
業務分類 | 主な業務内容 |
---|---|
決算関連 | 決算短信作成・説明会資料準備・補足資料作成、など |
株主総会 | 招集通知作成・事業戦略プレゼンテーション資料作成、など |
開示資料 | 有価証券報告書・統合報告書・コーポレートガバナンス報告書、など |
投資家対応 | 個別面談・証券会社カンファレンス参加、など |
説明会開催 | IR・アナリストデイ・中期経営計画説明会・ESG説明会、など |
日常業務 | IRサイト更新・適時開示・投資家問い合わせ対応、など |
IR部門の業務は多岐にわたり、投資家との関係構築や情報開示が中心です。決算発表から株主総会・日々の投資家対応まで、幅広い活動を通じて企業価値向上に貢献します。IR部門は、企業と投資家をつなぐ重要な役割を担っていると言えるでしょう。
IR部門における年間スケジュール例
IR部門の年間スケジュールの例は以下のとおりです。
時期 | 業務内容 |
---|---|
1-2月 | 第3四半期決算発表・統合報告書作成開始 など |
3-4月 | 本決算発表準備・有価証券報告書作成 など |
5-6月 | 株主総会開催・第1四半期決算準備 など |
7-8月 | 第1四半期決算発表・投資家向け説明会 など |
9-10月 | 中間決算発表準備・海外投資家訪問 など |
11-12月 | 第3四半期決算準備・来年度IR計画策定 など |
IR部門の年間スケジュールは、決算発表を軸に構成されています。四半期ごとの決算準備と発表や株主総会・投資家向け説明会などが主要な業務です。
3月から8月にかけてはとくに忙しく、決算関連の資料作成や開示が集中する傾向にあります。12月は比較的落ち着いた時期で、次年度の活動計画を立てるのが一般的です。
このように、IR部門は1年間に数多くの資料を作成する業務に追われます。自社のリソースが足りない場合は、資料作成サービスに依頼するのもかしこい選択です。
なお、弊社ストリームラインでは、資料制作のご依頼を承っています。IR資料の作成についてお困りの方は資料作成のワンストップ代行サービス「LEAD」までお気軽にご相談ください。
IR活動の効果を高めるポイント
IR活動の効果を最大化するためのポイントについて、詳しく解説します。
- 1. 投資家が求めている情報を丁寧に開示する
- 2. 経営のトップ層が積極的にIRに関わる
- 3. 投資家から得たフィードバックを経営に反映させる
ぜひ参考にしてみてください。
1. 投資家が求めている情報を丁寧に開示する
投資家が求める情報を丁寧に開示することは、効果的なIR活動の核心と言えます。投資家の信頼を獲得し、適切な投資判断を促すためには、透明性の高い情報開示が不可欠です。
具体的には、以下のような取り組みが重要です。
- 財務情報の透明な開示
- ESGなどの非財務情報の提供
- 明確な企業戦略の説明
- 長期的な視点の提示
このような取り組みにより、投資家の企業理解が深まり、信頼関係を構築できます。結果として、長期的な株主の獲得や企業価値の向上につながるでしょう。
2. 経営のトップ層が積極的にIRに関わる
IR活動に説得力を持たせるには、投資家との対話やコミュニケーションを経営層自らが行うことが重要です。投資家は、企業の最高意思決定者から直接情報を得ることで、より正確で信頼できる情報だと認識するからです。
経営層がIR活動に関与することで、単なる情報提供に留まらず、企業の透明性や誠実さを示す効果が期待できます。
ただし、経営トップの関与は一時的なものではなく、継続することが求められるでしょう。
3. 投資家から得たフィードバックを経営に反映させる
投資家との対話を通じて得られた意見や情報を収集・分析し、改善点を見出すことも大切です。株主・投資家の意見を反映する仕組みを構築し、経営に活かしましょう。
この過程は、企業の成長と進化につながる貴重な機会です。投資家の視点を取り入れることで、より強固な経営基盤を築けるでしょう。
IR活動に正しく取り組んで企業価値を高めよう
IR活動は、企業と投資家を結ぶ重要な架け橋です。適切な情報開示や経営トップの関与・投資家のフィードバックの活用など、戦略的なIR活動は企業価値向上に大きく貢献します。
IR部門の役割を理解して年間を通じた計画的な取り組みを行うことで、投資家との信頼関係が深まり、企業の持続的成長につながります。
IR活動を企業戦略の核として位置づけ、積極的に推進していくことが、今後の企業成長には不可欠です。
なお、弊社ストリームラインでは、資料制作のご依頼を承っています。IR資料の作成についてお困りの方は資料作成のワンストップ代行サービス「LEAD」までお気軽にご相談ください。