中期経営計画の作り方7ステップ|制作時のコツや参考になる本・参考になる企業を紹介

中期経営計画は、企業の方針を決める羅針盤です。しかし、その作成プロセスは多くの経営者にとって悩みの種となっています。
そこで本記事では、1000社以上の資料作成に携わった弊社ストリームラインが、中期経営計画の作り方を、わかりやすく解説します。
現状分析から財務計画の策定まで、各ステップを具体例とともに紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
・中期経営計画とは・中期経営計画を作るメリット・中期経営計画の作り方・中期経営計画を作る際のポイント・中期経営計画資料の制作事例・中期経営計画がわかりやすい企業・中期経営計画を作るときに参考になる本・中期経営計画資料を作るならプロに依頼しましょう
中期経営計画とは
中期経営計画は、企業の成長戦略を具体化する重要な指針です。売上高や利益率などの具体的な数値目標と、達成するための戦略的施策を含み、投資家や取引先への説明資料としても活用されています。
一般的に、3〜5年の期間で設定され、企業が目指す将来像と現状のギャップを埋めるための道筋を示し、経営資源を最適に配分するのに役立ちます。
中期経営計画を策定することで、長期的なビジョンと短期的な事業計画を結びつけ、企業の進むべき方向性を全社員に明確に伝えるきっかけを得られるでしょう。
中期経営計画を作るメリット
中期経営計画を作成することには、以下のようなメリットがあります。
- 経営方針を明確にできる
- 社員と意識を共有できる
- 課題に優先順位を付けて対策を立てられる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 経営方針を明確にできる
中期経営計画を作成し、3〜5年後のビジョンや目標を具体的に設定することで、会社の進むべき方向性が明確になります。
計画を立てる際に具体的な数値目標を設定すれば、進捗状況を客観的に評価し適切に軌道修正するための目安となるでしょう。
中期経営計画を作ることは、市場の環境変化に柔軟に対応しつつもぶれない経営の軸を持つことにおいて、大きな役割を果たします。
2. 社員と意識を共有できる
中期経営計画を作成し全社的に共有することで、社員一人ひとりが会社の方向性を深く理解し、自分の役割を把握できます。ひいては、社員やメンバーの主体的な行動を促進し、モチベーション向上につながるでしょう。
また、中期経営計画を作成することで、部門や階層を超えた目標を掲げられるので、組織の一体感を醸成し、部門間の連携を強化する効果も期待できます。
結果として、人材の定着率向上や優秀な人材の獲得にもプラスの影響を与えられるでしょう。
3. 課題に優先順位を付けて対策を立てられる
中期経営計画を作ることで、会社が直面している課題や将来的なリスクを明確にできます。各課題の重要度や緊急度に基づいて優先順位を付けることで、限られた人的リソースや予算をどのように配分したら良いのかについて計画を立てられます。
適切に優先順位を付ければ、短期的に取り組むべき課題と中長期的に対応する課題を区別できるため、経営資源を効果的に配分し重要な課題に集中して取り組めるでしょう。
また、優先順位に基づいて対策を立案することは、社内での合意形成や意思決定をスムーズにし、全社一丸となって課題解決に取り組む体制を構築するのに役立ちます。
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中期経営計画の作り方
ここでは、中期経営計画を作成する7つのステップについて詳しく解説します。
- 現状を分析する
- 経営理念を再確認する
- 中長期の経営ビジョンを策定する
- 数値目標を設定する
- 戦略を立案する
- アクションプランを作成する
- 財務計画を策定する
それぞれのステップを順に見ていきましょう。
1. 現状を分析する
中期経営計画策定の第一歩は、自社の現状を客観的かつ徹底的に分析することです。
SWOT分析やPEST分析などの体系的なフレームワークを活用し、自社の強みや弱み・市場環境・競合状況を多角的に評価します。

この段階で陥りやすい誤りは、楽観的な見方や主観的な判断に頼ることです。現状を分析する際は「なんとなくうまくいっていない」「従業員数の割に生産力が低い気がする」といった主観的な意見を入れないことが大切です。
あくまで、客観的なデータや事実に基づいて自社の現状を認識しましょう。
2. 経営理念を再確認する
経営理念は中期経営計画の根幹になるため、再確認と必要に応じた見直しは計画策定の重要なステップです。多くの企業が経営理念を形骸化させてしまう傾向にありますが、それでは大きな機会損失につながりかねません。

具体的な方策としては、ワークショップを開き、経営理念の解釈や現場でどのように適用させるかについて意見交換することなどが挙げられます。また、抽象的な理念を具体的な行動指針に落とし込み、各部門や職種の実践例を洗い出しましょう。
また、経営理念のなかで時代にそぐわないポイントがあれば、見直すことも大切です。ただし、経営理念は会社の軸となる考え方なので、本質的な部分に変更を加える際は慎重になるべきでしょう。
3. 中長期の経営ビジョンを策定する
中長期の経営ビジョンは、3〜5年後の目指すべき姿を具体的かつ魅力的に描くものです。市場動向や自社の強みを十分に考慮し、実現可能性と挑戦性のバランスを取ったビジョンを策定しましょう。

明確で挑戦的な経営ビジョンが固まれば、社員のモチベーションを高めるだけなく具体的な戦略立案の指針となります。
4. 数値目標を設定する
中期経営計画を作成する際は、具体的で測定可能な数値目標を設定することが重要です。漠然とした目標では進捗管理が困難であり、組織全体の方向性を定められません。

重要業績評価指標(KPI)として、売上高や利益率・市場シェア・顧客満足度などを設定し、各指標の目標値を明確に決めましょう。「5年後に売上高1,000億円、EC売上比率30%、顧客満足度業界1位」といった明確な数値目標を含むビジョンを設定することが大切です。
具体的な数値目標を設定すれば、計画の進捗を客観的に評価できます。
5. 戦略を立案する
数値目標の達成に向けた具体的な戦略立案は、中期経営計画の核心部分です。戦略なき目標は絵に描いた餅に終わり、組織の方向性を見失う恐れがあります。

新規事業展開や既存事業の強化・M&A・海外展開など、複数の選択肢を慎重に検討し、自社の強みを最大限に活かせる戦略を選択しましょう。
たとえば、IT企業の場合、以下のような戦略を打ち出すことが挙げられます。
- AIを活用したソリューション事業の立ち上げ
- 東南アジア市場への本格進出
- データ分析部門の大幅強化
明確な戦略を立案することで、経営資源の最適配分が可能となり、目標達成への具体的な道筋が見えてくるでしょう。
6. アクションプランを作成する
中期経営計画の成功は、具体的で実行可能なアクションプランにかかっています。抽象的な戦略だけでは現場レベルでの行動に結びつかず、計画が実行されない恐れがあるからです。

そのため、アクションプランを立てる際は、各部門や事業単位で具体的な施策や実施時期・必要リソースを明確にし、詳細なスケジュールを設定しましょう。
綿密なアクションプランを立てることで、目標達成への道筋が明確になります。
7. 財務計画を策定する
中期経営計画の実現可能性を担保するのは、緻密な財務計画です。楽観的すぎる財務見通しは、計画全体の信頼性を損ない、逆に保守的すぎる計画は成長機会を逃す原因になりかねません。

売上計画や経費計画・設備投資計画を詳細に策定し、資金繰りや投資回収計画を含めた総合的な財務シミュレーションを行いましょう。
たとえば「3年間で累計50億円の研究開発」「クラウド事業の売上高年平均成長率30%」といった数値を財務計画に織り込み、実現に向けた資金計画を策定することなどが挙げられます。
精緻に計画を練れば、経営資源の最適配分が可能となり、計画の実現可能性と説得力が大幅に向上します。
中期経営計画を作る際のポイント
中期経営計画を作成する際には、以下の3つのポイントに注意する必要があります。
- 矛盾がないか確認する
- リスクを分析し対策する
- 計画に柔軟性を持たせる
ひとつずつ見ていきましょう。
1. 矛盾がないか確認する
中期経営計画に沿って事業を運営するには、計画に整合性が取れていることが重要です。計画のなかに矛盾や不整合があると、計画の実行段階で混乱が生じ、目標達成が困難になります。
目標と現状のギャップや各部門間の整合性・財務計画との整合性などを綿密にチェックしましょう。整合性を確認することで、説得力のある中期経営計画を立てられます。
2. リスクを分析し対策する
中期経営計画を成功させるには、潜在的なリスクを特定し適切な対策を立案する必要があります。
市場変化や競合動向・法規制の変更など、外部環境の変化を多角的に分析し、それぞれに対する対策を事前に検討しましょう。
たとえば、製造業を営む企業の場合は、主要原材料の価格高騰リスクに備えて代替材料の研究開発と調達先の多様化を計画に盛り込むという対策が考えられます。
中期経営計画でリスク分析と対策立案に着手しておけば、困難な状況に陥りそうなときでも柔軟に対応できるでしょう。
3. 計画に柔軟性を持たせる
不確実性の高い現代のビジネス環境下では、計画の柔軟性が成功の鍵となります。
そのため、複数のシナリオを想定し、状況に応じて計画を修正できる仕組みを組み入れましょう。
たとえば、計画を立てる際に「楽観」「中立」「悲観」の3つのシナリオを策定し、四半期ごとに計画の進捗と外部環境を評価することなどが考えられます。
このように計画に柔軟性を持たせることで、急激な環境変化にも迅速に対応でき、中長期的な目標を高い確率で達成できるでしょう。
中期経営計画資料の制作事例
弊社ストリームラインは、インフォコム株式会社様のご依頼で中長期計画の資料作成を担当しました。本案件では、8週間という短期間で企画構成からデザインまでを一貫して手掛けています。
弊社の強みであるIR資料に特化した知見と高いデザイン力を活かし、スタイリッシュで説得力のある資料を完成させました。

開示直前の慌ただしい時期ではあったものの、手戻りなく、スムーズに資料制作を進行しました。また、時間とリソースの制約・デザイン力の課題を解決できた点も担当者様に喜んでいただけたポイントです。
弊社ストリームラインでは資料制作のご依頼を承っています。中期経営計画の資料作成についてお困りの方はIR資料に特化した資料作成サービス「LEAD」までお気軽にご相談ください。
中期経営計画がわかりやすい企業
ここでは、中期経営計画の見本となる企業を3社紹介します。
会社名 | 特徴的なポイント |
---|---|
いつも | 赤とグレーの統一配色で余白を活かしたレイアウト丸みを帯びた 図形使用による柔らかさと洗練さの両立 |
インテリックス | ー+=×の数学記号をインデックスとして使用理念体系やグループの事業概要、 各事業分野の重点方針についての丁寧な解説 |
オークネット | 16:9のスライドサイズを活かした左右レイアウトインパクトのある 画像使用によるメッセージ強調SDGsへの取り組みを強調 |
なお、その他企業の中期経営計画の事例については下記の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
中期経営計画を作るときに参考になる本
ここで紹介する本は、どちらも2,000円以下の一般的な価格帯で、図解を用いて初心者にもわかりやすく解説しています。中期経営計画の基本を学ぶ最初の一冊として適していると言えます。
図解入門ビジネス 最新中期経営計画の基本がよ~くわかる本[第3版]
![図解入門ビジネス 最新中期経営計画の基本がよ~くわかる本[第3版]](https://studio.virtual-planner.com/wp-content/uploads/2024/08/management-plan_09.jpg)
価格 | 1,980円 |
出版 | 秀和システム |
本書は、中期経営計画の基礎から実践までを網羅的に学べる優れた入門書です。図解を多用することで複雑な概念を視覚的に理解しやすく説明しており、初心者にも適しています。
中期経営計画の立案から活用まで、実務に即した内容を幅広くカバーしている点も魅力的なポイントです。第3版としてAI導入や経営のデジタル化など、最新の経営環境を反映しており、現代のビジネス状況に即した実践的な知識を得られます。
図解でわかる経営計画の基本 いちばん最初に読む本

価格 | 1,760円 |
出版 | アニモ出版 |
本書は、経営計画全般の基礎知識を効率的に習得できる入門書として最適です。図解を効果的に用いることで、複雑な経営計画の概念を直感的に理解しやすい良書です。
この本を読めば、中期経営計画を含む広範な経営計画の知識を体系的に学べます。「いちばん最初に読む本」として位置づけられているだけあり、経営計画の基礎から段階的に学習できる構成となっています。
経営計画の入門書として費用対効果が高く、実務者の基礎固めに適しているでしょう。
中期経営計画資料を作るならプロに依頼しましょう
中期経営計画は、企業の未来を左右する重要な戦略です。しかし、その作成には専門知識と高度なスキルが求められます。
投資家や社内の理解を促進し、計画の実効性を高めるためにも、プロの力を借りるのがおすすめです。プロの支援を受けることで、洗練されたデザインと説得力のある内容の資料が完成します。
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