ファクトブックとは?目的や作り方・事例について詳しく解説
営業提案や企画資料を作るときに、毎回データを探し回っていませんか。会社の情報や市場データ・競合情報など、必要な数字をまとめた資料があれば、資料作成の時間を大幅に短縮できます。その資料がファクトブックです。
ファクトブックを整備すれば、担当者によるばらつきを抑えつつ、一定水準以上の説得力を持つ資料を作成できるようになります。本記事では、ファクトブックの目的や作り方・実際の事例を詳しく解説します。
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目次
・ファクトブックとは?・ファクトブックを作る目的・メリット・ファクトブックに盛り込みたい情報・ファクトブックの作り方・ファクトブックの事例・ファクトブックを作成し、広報・PR活動にも活用しましょう
ファクトブックとは?

ファクトブックとは、企業や市場・業界に関する事実情報を一冊に整理した資料のことです。会社概要や事業内容・業績推移・市場規模など、提案や意思決定の根拠となるデータを体系的にまとめた資料のことを指します。
単なる会社案内や説明資料とは異なり「数字や客観情報をすぐに取り出せること」を目的として作られます。
ファクトブックを作っておけば、営業提案や企画書作成の際に毎回ゼロから調査する手間を減らせるため、根拠のある説明を短時間で行えるようになるでしょう。
ファクトブックを作る目的・メリット
ファクトブックを作成することで得られるメリットは複数あります。ここでは、ファクトブック整備による主なメリットを3つ紹介します。
- 対外資料・提案資料の品質の底上げにつながる
- 事実情報を一元管理し、探す時間を削減できる
- 提案・企画のインプットを標準化できる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
対外資料・提案資料の品質の底上げにつながる
ファクトブックを作成する最大の目的は、対外的に提出する資料の品質を安定して高い水準に保つことです。企業情報や市場データ・業界動向といった根拠情報をあらかじめ整理しておくことで、広報資料や提案資料において、提案者ごとの知識差や調査の抜け漏れを防げます。
結果として、数字や前提条件がそろった説得力のある資料を作りやすくなります。感覚的な説明や曖昧な表現が減り「なぜその提案なのか」をデータで説明できるのがファクトブックを作る大きなメリットです。
事実情報を一元管理し、探す時間を削減できる
ファクトブックを作れば、企業情報や市場データ・競合情報などの情報を1ヵ所に集約できます。資料作成のたびにWeb検索や過去資料を探し回る必要がなくなり「どこにどの情報があるか」を考える時間を大幅に削減できるでしょう。
必要なデータをすぐに取り出せる環境が整うことで、調査作業に追われる時間が減り、提案内容の検討やストーリー設計といった本来注力すべき業務に集中できるようになります。結果として、資料作成全体のスピードと完成度の両方が向上するでしょう。
提案・企画のインプットを標準化できる
ファクトブックを整備すれば、提案や企画を考える際のインプット情報を標準化できます。担当者ごとに参照する資料やデータが異なる状態では、提案の前提条件や説明の切り口にばらつきが生じやすくなります。
ファクトブックに共通の事実情報をまとめておけば、誰もが同じデータをもとに企画を検討できるため、認識のズレを防げるでしょう。結果として、議論は事実確認ではなく「どう活かすか」に集中しやすくなり、提案の質を効率よく高める土台として機能します。
弊社ストリームラインでは資料制作のご依頼を承っています。ファクトブックの作成についてお困りの方はIR資料に特化した資料作成サービス「LEAD」までお気軽にご相談ください。
ファクトブックに盛り込みたい情報
ここでは、ファクトブックに盛り込むべき主な情報項目を紹介します。
- 企業概要・基本情報
- 事業内容・サービス一覧
- 市場規模・業界動向データ
- 競合企業・競合サービス情報
- そのほか
それぞれ詳しく見ていきましょう。
企業概要・基本情報
企業概要・基本情報には、会社名や所在地・設立年・従業員数・事業内容といった基礎項目に加え、IR情報も適切に盛り込むことで、資料としての信頼性が高まります。
売上高や営業利益の推移・事業セグメント別の構成など、公開されているIR資料に基づく数字を反映させれば、企業の規模感や成長性を客観的に把握できます。公式に開示された情報を前提にすることで、説明の根拠が明確になり、提案や企画における前提条件として安心して活用できるでしょう。
IR情報については「IRとは?意味や目的・業務内容についてわかりやすく解説」の記事も参考にしてみてください。
事業内容・サービス一覧
事業内容・サービス一覧は、その企業が「何で価値を提供しているのか」を端的に示す情報です。主力事業や提供サービスを整理し、対象顧客や提供形態・収益モデルなどを簡潔にまとめておくことで、ビジネスの全体像を把握しやすくなります。
提案資料を作成する際に、前提の理解が不足したまま話が進むと説得力が弱くなりがちです。その点、ファクトブックに整理された事業情報があれば、相手企業の特徴を踏まえた提案につなげやすくなるでしょう。
市場規模・業界動向データ
市場規模や業界動向データは、提案や企画に客観的な裏付けを与える重要な情報です。市場全体の規模や成長率・今後のトレンドを整理しておくことで、その提案が「どれくらいの可能性を持つのか」を数字で説明できます。
感覚的な将来予測ではなく、事実に基づいた判断ができるため、説得力が大きく向上します。ファクトブックにまとめておけば、毎回調査し直す必要がなく、資料作成の効率化にもつながるでしょう。
競合企業・競合サービス情報
競合企業・競合サービス情報は、自社や提案内容の立ち位置を明確にするために欠かせません。主要な競合企業や類似サービスについて、特徴や強み・価格帯・ターゲット層などを整理しておくことで、市場内での違いや優位性を客観的に把握できます。
提案資料においても「なぜ自社なのか」を説明しやすくなり、比較に基づいた説得力のある主張につながります。競合企業の情報をファクトブックにまとめておけば、競合調査を毎回やり直す手間も減らせるでしょう。
そのほか
上記の内容以外にも、ファクトブックに乗せたほうがいい項目を以下にまとめました。
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 導入実績・取引実績データ | 導入社数や取引先例を示し、信頼性や実績規模を客観的に伝える。 |
| 実績数値・成果データ | 売上向上率やコスト削減率など、成果を数字で可視化する。 |
| ターゲット顧客・想定利用シーン | 主な顧客層や利用場面を整理し、活用イメージを明確にする。 |
| 会社の体制・組織構成 | 担当部門や人員体制を示し、提供力や安定性を伝える。 |
| 受賞歴・認証・公的評価 | 受賞や認証実績を通じて第三者評価を明示する。 |
| パートナー企業・提携先情報 | 提携企業や協業先を示し、事業の広がりや信頼性を補強する。 |
以上の項目を整理して掲載することで、ファクトブックは単なる情報集ではなく、提案や広報の根拠資料として機能するようになります。事実情報を体系化することで、説明の一貫性と説得力を高め、実務で使える資料に仕上がるでしょう。
ファクトブックの作り方
ファクトブック作成を成功させるには、段階的なアプローチが重要です。ここでは、ファクトブックを作成するための5つのステップを紹介します。

各ステップについて詳しく説明します。
1. 目的と利用シーンを明確にする
ファクトブック作成の第一歩は「何のために使うのか」「どの場面で使うのか」をはっきりさせることです。営業提案や企画立案・社内説明など、利用シーンによって必要な情報は異なります。
目的が曖昧なままファクトブックを作り始めると、情報が過不足になり、結局使われない資料になりかねません。あらかじめ想定読者や利用タイミングを整理しておくことで、盛り込むべきデータの範囲や深さが定まり、実務で使いやすいファクトブックを作れるようになります。
2. 掲載項目・構成を設計する
目的と利用シーンが決まったら、次に行うのが掲載項目と全体構成の設計です。企業概要や市場データ・競合情報など、どの情報をどの順番で並べるかを先に決めておくことで、情報の抜け漏れや重複を防げます。
構成が整理されていないと、必要なデータを探すだけで時間がかかってしまいます。あらかじめ型を作っておくことで、誰が見ても理解しやすく、必要な情報にすぐアクセスできる資料に仕上げられるでしょう。
3. 情報ソースを洗い出す
掲載項目が決まったら、次に行うのが情報ソースの整理です。公式サイトやIR資料・業界団体の統計・公的機関のデータなど、信頼できる情報源をあらかじめ洗い出しておくことが重要です。
出どころが不明な情報や古いデータを使うと、提案全体の信頼性が下がってしまいます。調査の再現性を高める意味でも、ソース管理は欠かせません。
ファクトブックは「どこから取得した情報か」を明確にしてはじめて、安心して使える資料になります。
4. 情報の定義と表記を統一する
ファクトブックでは、情報の定義や表記を統一することが重要です。たとえば、売上高の対象期間や市場規模の算出方法・用語の意味が統一されていないと、解釈がずれてしまいます。
そこで、あらかじめ指標の定義や単位・表記ルールを決めておけば、誰が更新・利用しても同じ前提で理解できます。細かなルール整備は手間に感じられるかもしれませんが、資料の信頼性と使いやすさを支える土台となるでしょう。
5. 構造化して整理・配置する
集めた情報は、ただ並べるのではなく、目的に沿って構造化して整理することが重要です。項目ごとに章立てを行い、見出しや図表を使って配置することで、必要な情報を素早く探せるようになります。
情報量が多くなるほど、整理の有無が使いやすさを大きく左右します。ファクトブックは「読む資料」ではなく「引く資料」であるため、一覧性や検索しやすさを意識して構成されていることが、実務で活かせるかどうかの分かれ目です。
あわせて、情報の信頼性と実用性を保つための運用面も重要です。具体的には、出典や更新日を明記することで情報の鮮度と根拠が明確になり、社内レビューを通じて内容の精度を高められます。
さらに、更新頻度や管理担当を決めた運用ルールを設けることで、ファクトブックを継続的に活用できるようになるでしょう。
ファクトブックの事例
最後に、大手企業が公開している3つのファクトブック事例を紹介します。
- JR東日本(東日本旅客鉄道)「FACT BOOK」
- ヤマハ発動機「ファクトブック」
- バンダイナムコホールディングス「FACT BOOK」
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
JR東日本(東日本旅客鉄道)「FACT BOOK」
JR東日本の「FACT BOOK」は、企業や事業の全体像を客観的なデータで把握できる代表的な事例です。会社概要や路線網・輸送実績・収益構造・設備投資の状況などが体系的に整理されており、必要な情報をすぐに確認できるよう構成されています。
説明文は最小限に抑えられ、数字や図表を中心にまとめられているのが特徴です。読み物ではなく「根拠を確認するための資料」として設計されており、ファクトブックが意思決定や説明の裏付けとして機能することを示しています。
ヤマハ発動機「ファクトブック」
ヤマハ発動機のファクトブックは、事業構造や成長戦略を事実データで把握できる資料として知られています。売上構成や地域別展開・主要製品分野・市場環境などが簡潔に整理され、数字と図表を中心に構成されているのが特徴です。
ストーリー説明に頼らず、提案や分析の前提となる情報を素早く確認できるため、社内外での説明や意思決定の裏付け資料として活用しやすい好例といえるでしょう。
バンダイナムコホールディングス「FACT BOOK」
バンダイナムコホールディングスの「FACT BOOK」は、多角的な事業を客観的に理解するための情報整理が徹底されています。ゲームや映像・玩具・アミューズメントなどの事業別構成や売上比率・地域別展開の位置づけが数字と図表で整理されています。
感覚的なブランド説明に偏らず、事実データから企業全体を俯瞰できる構成がこのファクトブックの特徴です。複雑な事業構造を短時間で把握できる点は、提案や分析の前提資料として参考にする価値があるでしょう。
ファクトブックを作成し、広報・PR活動にも活用しましょう
ファクトブックは営業や企画だけでなく、広報PR活動にも大きく役立つ資料です。企業概要や事業内容・実績データを整理しておくことで、取材や外部への情報発信においても、正確で一貫した説明ができるようになります。
属人的な説明に頼らず、事実に基づいた情報提供ができるため、企業としての信頼性向上にもつながるでしょう。
なお、弊社ストリームラインでは資料制作のご依頼を承っています。ファクトブックの作成についてお困りの方はIR資料に特化した資料作成サービス「LEAD」までお気軽にご相談ください。




















